【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「姐さん!! 大変ですっ!!」
「えっ?」
「今すぐ来てください!!」
千原さんの血相を変えた表情に驚きながら、私は慌てて千原さんについていく。
写真は書斎のテーブルに置いた。
正直写真が気になったけれど、無理矢理頭から押しのけた。
居間に行くと、組員たちが集まっている。
その中央に峰さんに支えられ、腕を負傷した和仁さんの姿があった。
腕からは痛々しく血が流れており、片手で押さえている。
一瞬にして血の気が引き、私は大声をあげて和仁さんに駆け寄った。
「和仁さんっ!!」
「ジェシカ……」
「どうして!? 何があったの!?」
「撃たれたんです。別の組の者に」
取り乱す私に峰さんが冷静に答えた。
そんな、撃たれただなんて……!!
「そんな……っ!!」
「これから馴染みの医者のところに行ってきます」
「私も行きます!」
「ダメだ」
「どうしてですか!?」
「ジェシカはここにいろ。絶対外には出るな」
「でも……っ」
「絶対出るな」
和仁さんから有無を言わさない圧力を感じた。
思わずビクッと身を震わせてしまう。
「……千原、笹部」