甘々最強アイドルは普通な私の特別を知っている

舞野、アイドルに告白される

①普通過ぎるテスト結果

○学校クラス内、昼休み

四人の女子生徒、舞野(主人公)、歌恋、扇、タジアがお弁当を食べながら、今日返却された一回目の定期テストの結果について語らっている

1コマ目
歌恋「わたくしは今回のテストほぼ完璧(パーフェクト)でしてよ~」
歌恋(縦ロールお嬢様)は、オーホッホッホという典型的な笑い声とともに100点、98点、99点と高得点が並んだテストを見せびらかす。舞野(主人公、黒髪セミロング、ややおとなしめの性格)はパチパチと手をたたきながら彼女を褒めたたえる。
舞野「すごい…流石は歌恋さんです!」
2
扇「あたしはいつも通り、ギリギリセーフさ!」
扇(ショートヘアのスポーツ少女、制服にジャージを羽織っている、主人公の幼馴染で親密、主人公からはゆずちゃんと呼ばれる)は30点台ばかりのテストをひらひらと3人に見せつける。
舞野「オリンピック出場で忙しかったのにしっかり補修を回避できるのは偉いよゆずちゃん」
扇「カンが冴えてんのよ カンが!」

タジア「ボ、ボクはこんなん……」
タジア(片目眼帯、制服下ズボン)はおずおずと文系科目が100点それ以外が壊滅的な点数のテストを見せる。
舞野「しっかりと得意科目で100点をとれるのは羨ましいです。それに引き換え私は…」

舞野「全部平均点でした……」
舞野のテストの点数は得意も苦手もなくすべてが50~70点台の平均に収まるものであった。なぜか舞野はがっかりとうなだれている。
歌恋「わたくしには及ばないにしてもちゃんとお勉強なさっているのだからそう肩を落とさないでくださいな」
舞野「力を入れた英語だけでも良い点を取れればと思っていたのですけど……」
舞野(また普通でつまらない結果になってしまった……)


②普通コンプレックス

1コマ目
舞野(勉強もスポーツ……カラオケとかゲームでさえも全部平均的な結果しか出せない…兄さんやゆずちゃん、歌恋さんやタジアさんは皆得意なことや強みになる個性があるのに)
舞野(私にはタジアさんのような推しもいないし、特別ハマれる趣味もないし……)
舞野は友達三人がテストについて話しているのを横目に見ながらアンニュイな心情と過去回想に浸る。
2
舞野(私は昔から何一つこれといって得意なものがなくて……面白い個性もなく普通で…昔からそれが本当に悩みで……)
兄がオール5をとって褒められている中、舞野の成績表が絶対評価で3と4ばかりであったり、扇が1位を取った小学校の運動会の徒競走で4位になった過去を思い出す
3
舞野の過去回想は続き、もともと悩みであった普通であることがコンプレックスになった決定的な出来事まで思い出してしまう。人気のない校舎の裏側で付き合っていた彼から振られた時のことだ。
舞野「そんな…とつぜん私と別れるってどうしてですか……」
元恋人「お前さあ、別に悪い奴ってわけでもないんだけどフツー過ぎて面白くないんだよね。なんというか刺激不足?」

忘れたい過去を思い出してしまい思わず舞野は顔を手で覆う。そこに何者かが(ヒーローの颯斗)が声をかけてくる
颯斗(セリフのみ)「ねえ、キミが五月雨舞野さんだよね?」

③来河颯斗の告白

舞野「え……?」
見知らぬ声を聞いて顔を上げる舞野。
颯斗「オレは今日転校してきた来河颯斗。オレのこと知ってる?てか覚えてる?」
舞野の目の前にいたのは、金髪碧眼で西洋風の顔立ちの美少年だった。

舞野「えっと、見たことはあります。アイドルの人ですよね」
颯斗「良かった。知ってもらえているみたいで」
舞野(ドッキリ番組の撮影?突然アイドルが転校してくると普通の高校生はどんな反応をするかみたいな、ならこんな返事は面白くなかったかな…)
突然のことで固まってしまっている舞野にアイドルとしての自分が知られていることを知った颯斗は嬉しそうに笑う。

颯斗「で、なんだけど。オレと付き合ってくれない?」
舞野「ドッキリにですか?普通でつまらないですけど私なんかでもお役に立てるなら……」
机にやさしく手をついて、舞野と目線を合わせ告白をする颯斗。舞野はどっきりだと思ってしまっている。

颯斗「ドッキリ??違うよ恋愛的な意味で。舞野さんにはオレの恋人になってほしい」
舞野「え……?わ、私は、その、普通でつまらない人間なので……ご、ごめんなさい!」

④来河颯斗、振られる

しんと静まり返る様々な人のいる教室。机に手をついて固まっている颯斗。振ったことになる舞野が引きで描かれる。

クラスメイト一同「ええええええええ!!!」

タジア「ほ、本物の颯斗様!?!?なんでボクらの教室に???」
A子「いやそこじゃない!疑問を持つならどうして稀代のアイドルが突然五月雨さんに告白をってとこでしょ!」
モブ野「いや驚くべきはそもそも転校生がくるなんて聞いてないのに唐突に来た事だろ!なんで佐藤はなんにも言わないんだよ!歓迎会の準備もできねえじゃん!」
タジア(颯斗のファン)A子(モブ女子)モブ野(坊主野球部モブ)が驚きの声を上げ、妙なテンションで議論を始める。モブ野のいう佐藤は担任教師。

クラス内がざわつく中、固まっていた颯斗は後ろを振り向いてそばにいた歌恋、扇に話しかける。
颯斗「え、もしかしてオレ振られた?」
扇「そだねー」
歌恋「そうみえますわね。ご愁傷様」
突然、この妙な出来事を経験することになった舞野はぽかーんと口を開けぼんやりしていた。
⑤ 噂話

ドル男「ちょっとまってよぉ!来河颯斗ぉ!ぼぉくはねえ!君みたいな天地がひっくり返ってもかないっこない奴なら楚々ちゃんを任せされるって思ってたんだよぉ!なのにさぁ!」
颯斗「断じて付き合っていない!楚々さんとのことは週刊誌の捏造で、オレは昔っから舞野さん一筋だから!」
舞野「む、昔?一筋?」
推しの楚々(アイドル)と付き合っていると思い込んでいたドル男(モブアイドルオタク)が舞野に告白したことを怒っている。颯斗はそれを強く否定した。

クラスメイト達「いや、颯斗が付き合っているのは女優のスラディだろ?キス写真を見たぜ」
タジア「それはディープフェイク!真っ赤な捏造!」
クラスメイト達「颯斗が付き合っているのは同じグループの……」「ざわざわ」
いろいろなうわさ話を囃し立てるクラスメイト達。それをファンであるタジアは否定して回っている。

扇「芸能人は大変だねぇ。舞野もそう思わない?」
舞野「え、あ、うん。そうだね」
舞野はまだ動揺していた。颯斗は詰められててんてこ舞いになっている。

扇「もし舞野が良かったらなんだけどあいつと二人で人気のないところへいって話してこない?なんで舞野のことが好きなのかーとか気になるじゃん」
舞野「私のことが好きなのはきっとなにかの間違いだよ。けど話はしたい…かも。ほかの人と誤解されていたら困るし……」
扇「間違いではないと思うけどな~ま、屋上にでも行きなって」

⑥ Let’s 逃走!

新聞部「新聞部です!衝撃の告白の理由について一言お願いします!」
颯斗の周りでわいわいがやがやとしているなか、
扇「はーい皆~あたしと歌恋が漫才するよ~」
歌恋「突然ですわね!?」

クラスメイト達「いきなりなんだよ!?俺たちはいま噂の真相を…」
扇「まぁまぁ見ておきなって、歌恋の漫才なんてめったに見られないよ~」
歌恋「したことありませんものねぇ!?」
颯斗の周りの注目は、一時的にではあるが扇たちの方に向いていた。それを見た舞野は颯斗に声をかける
舞野「颯斗さん」

舞野「来てください!」
それだけ告げて、舞野は颯斗の手を取って走り出した。

手を引かれる颯斗はふっと笑ってただ一言
颯斗「やっぱりキミはオレにとって特別だ」

⑦ 二人きりの屋上

○屋上

息を切らしながら屋上のドアをばたんと閉める舞野。

手すりから風景を見る端正な顔立ちの颯斗がアップで描かれる
舞野(息一つ切れていない。さすがはアイドル……)
3
風景を見たままの舞野に顔を見せない状態で颯斗は話す。
颯斗「ありがとう、オレのこと連れ出してくれて」
舞野「いえ、突然手を引いてしまって申し訳……」

颯斗「謝らないで。嬉しかったし懐かしかったから」
舞野の口にしっとなるように人差し指を押し当て、そう言って笑う颯斗。
舞野(会うのは初めてだと思うけど…でも彼の青い目はどこかで見たような……)

⑧ アイドル来河颯斗
1
舞野「ごめんなさい。私のことを知っているみたいですけど颯斗さんとお会いした記憶がなくって」
颯斗「いいんだ。昔のオレのことは。アイドルとしての今のオレは知ってもらえてるんだろう?」
舞野「もちろんです。国民的アイドルですから」

舞野モノローグ『颯斗さんが所属している『Hearts Recapture』(略称ハツリプ)は国民的アイドルグループとして老若男女に親しまれています』
颯斗と二人のアイドル、劉・ミーティア(アイドルの一人、長髪)と武蔵野勝(アイドルの一人、短髪マッチョ)がシルエットで描かれる。

舞野モノ『なかでも颯斗さんはドラマや映画に引っ張りだこの演技力が魅力だと評されています』
舞野モノ『私も颯斗さんが出演している映像作品をいくつか見たことがありますが、どれも本当に素晴らしい演技でした』
教師役、不良役、ホラー映画の犠牲者役などを演じている颯斗が描かれる

舞野モノ『アイドルグループ『ハツリプ』もいうまでもなく大人気でドームツアーは毎回完売、最新アルバムはこの令和の時代に100万枚以上のセールス、公式SNSの総フォロワー数は1000万人以上、名実ともに国内最高のアイドルです』
ドームライブで客から歓声を受ける颯斗らの後ろ姿が描かれる
⑨ 舞野は特別

舞野(でもどうして颯斗さんは私のことを知っていて、私は彼のことを覚えていないのだろう……青い目だけはどこかで見たような記憶があるけど、そしてどうして、どうして私を好きなのだろう)

舞野「颯斗さん、一つだけ質問してもいいですか?」
颯斗「もちろん。なんでも聞いてくれ」

舞野「私のことが好きな理由ってあったりするのでしょうか……」
颯斗「当然さ。本人を前にいうのは気恥ずかしさもあるけれど…」
少しだけ照れている様子の颯斗

颯斗「舞野さんがオレにとって…特別だからかな」

⑩普通/特別

舞野「私が特別って……普通でつまらない人間で…颯斗さんには相応しくないですよ」
颯斗「そんなことはない!オレの手を引いてくれるのは舞野さんしかいないんだ!」
舞野は顔を伏せながら、颯斗は勢いよく会話している

颯斗「キミだけなんだよ。オレにとって特別だと思える人は」
舞野「特別なんかじゃありませんよ!颯斗さんのことだって覚えていないですし、私は普通でつまらないって…!」
颯斗「そんなことはないさ!」

舞野「あるんですよそんなことが!昔から私にはいいところがないし、普通でつまらないって言われて彼氏にだって振られますし!」
突然アイドルに告白されたりと妙なイベントが続いたため情緒が不安定になっている舞野は泣きそうであった。

颯斗「ごめん。いやなこと思い出させた」
舞野「いえ、私が……」
颯斗に抱き寄せられた舞野はそれ以上言葉を話せなかった。
舞野(抱きしめられてる…初めてだな)
顔を赤らめてドキドキしている舞野。身長差的に舞野の顔は颯斗の胸のあたりである。
⑪ 颯斗の提案

颯斗「ところで、舞野さんを振った愚劣の極ってこの学校にいるの?」
颯斗は笑顔の裏で怒っているみたいだ。
舞野「いえ、中学の時のことですから……」

颯斗「そのセンスなし男につまらないだなんて言われたことを真に受けないでほしい、オレにとってキミは…」
颯斗は言いかけて言葉を止める。何かを思いついたような表情

颯斗「そうだ。オレが舞野さんの特別なところ、長所をたくさん舞野さんに伝える。だからもし3つ、たくさん伝えるうちの3つ、舞野さんが納得できる特別なところをオレが見つけることができたら……」

颯斗「その時は、オレと付き合ってほしい」
⑫ 舞野と颯斗の約束
1
舞野「私の特別なところ…それを颯斗さんは知っているんですか?」
颯斗「ああ、キミとこうして会うのも実は3度目だしね」

舞野「3度目…わかりました。もし颯斗さんが、私が特別だと思えるところを見つけてくれたなら、その時にはお付き合いさせてください」
颯斗「ありがとう。約束だ。必ずキミがキミ自身を好きになれるようにしてみせるよ」
舞野はそれなりに照れた表情で提案を受け入れ、颯斗はそれを聞いて笑顔である。

舞野「では、これからよろしくお願いします」
颯斗「ああ、よろしく」
約束の証にがっちりと二人は握手を交わした。

舞野(そういえば、私から好きになった人は2人とも彼のような青い目をしていましたね…)
破顔している颯斗の横顔が描かれる。
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