白い花のバラッドⅠ

逃亡




 今にも雨が降り出しそうな日だった。憂鬱な気持ちにさせるようなそんな暗い色。


 どんよりとした雲は重くて。


 「外行けるかな…」


 アタシは窓を見ながらふてくされた表情を浮かべた。



 陽の光が隠れ、いつ雨が降り出してもおかしくない。


 今日は外で遊びたい気分だったのになあ。

 こないだ見つけた花の蕾がもう少しで開きそうだった。

 今日咲いてるかもしれないしなあ……。


 やっぱり外行きたい。


 アタシは何分か窓を見つめ唸った後スッと立ち上がって二人に告げる。


 「アタシ、外行ってくるね」


 たまにはこんな日もいいのかも。雨に濡れて帰る日くらいあってもいいはずだ。


 だが、身支度を整えようとするアタシにかけられた声は制止するものだった。


 「今日はやめておきなさい」

 「どうして?大丈夫だよ」



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