白い花のバラッドⅠ
 


 「母さん?」


 何故、そんな瞳をするのか、

 何故、そんなにも悲しそうなのか 、


 「ヒカリ、お前に言いたいことがある」


 目の前に座る父の声が聞こえ顔をそちらに向けると、父の顔は形容し難いものだった 。
 

 怒っているような、

 悲しんでいるような、

 泣きそうな、そんな表情。


 その顔を見た瞬間嫌な予感がした。



 朝からの違和感。

 それが今のこの現状に関わっている気がする。


 「なに?」


 アタシは戸惑いながらも答えた。その先に何があろうと知らないといけない気がする。


 「お前は自分がどういう存在かわかっているか?」


 いきなりの問いはアタシの頭では理解できなくて首を傾げた。


 「存在……?」

 「そう、天使と悪魔の子。それがお前の存在だ」

 言い聞かせる父にアタシは頷く。


 知ってるよ。

 それがアタシの存在。

 二人が世界から隠そうとする存在。


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