白い花のバラッドⅠ
哀しき別れ
"はずれの森"を抜けるとアタシの知らない世界があるのだろうと場違いにも思っていたアタシの目に飛び込んできた世界は特に今の生活と何ら代わり映えのないものだった。
背の高い木々は一切なかったが、代わりに広がるのは緑の草原。
いつもアタシが駆け回っていた場所と変化があるようには見えなかった。
少し…いや、かなり拍子抜けだ。もっと何か、アタシの見たことのない世界が広がっているとばかり思っていた。
具体的にどんなものが?と聞かれると答えようにないけど。
……魔界は此処と違うといいなあ。
気を取り直して目の前を歩く二人に天界の人達がどういうものなのか聞いてみる。
こんな時に悠長に質問なんかしてる場合かと怒られたらそれまでだけど、アタシは天界のことを何も知らない。だから、二人がそんな怖い顔をしているのもいまいちよく理解していない。