白い花のバラッドⅠ



 でもその天使達をまとめているのはアタシの父、ルカのお父さんだということさついさっき耳にした。


 お父さんのお父さん……つまりはアタシの祖父ってこと。


 うーん、と頭を捻り父さんが何故祖父をそんなに危惧しているのか考えてみるがアタシにそんなことわかるわけもない。


 アタシはすぐに疑問を口にした。


 「お祖父さんは怖い人なの?」


 安易に口にした言葉に、こちらを振り返った父は僅かに顔を顰めた。


 「ああ、とても厳格な人だよ」

 「……お祖父さんはお父さんのことを捕まえる気なの?」

 「いや、殺すつもりだろう」


 小さく吐くと、父は目元を下げて笑みを浮かべた。


 どこか悲しそうに見える表情に、こんなことを聞くべきではなかったのだと今更に気付いた。



 殺すつもりだろうだなんて酷いことを父に言わせてしまうなんて。


 どうすればいいかわからなくて母に助けを求めるように視線を向けると、母は父を心配するような目を向けていた。


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