白い花のバラッドⅠ
すり抜けた指先が掴めなかった母の体温をまだ覚えている。
いつものように笑う母の姿が至極弱々しく感じたのをしっかりと脳裏が記憶している。
___どうして、こんな事になってしまったのだろう。
アタシ達は……こんなことにならなければいけない程に悪い事をしたのだろうか。
彼等にこんな仕打ちをされるほどの行為を冒したのだろうか。
アタシ達は誰とも干渉せずにアタシ達だけの世界を築いていたじゃないか。外に出れないことを不満に思うことなく、ただ今の生活に満足していた。
それなのに何故?
「……っ、……」
どうして、どうして、どうして?
何故アタシ達がこんなことにならなくちゃいけないの?
グッと唇を噛み締めて蹲り土を精一杯握り締めながら必死に嗚咽を堪えた。