白い花のバラッドⅠ
涙を流したくはなかった。あんな奴等のせいで泣きたくなんてなかった。
「……っ、ぅぅ……」
それでも涙はとめどなく溢れて、堪えても堪えてもとどまることを知らない。
天使なんか、あんな奴等消えてしまえばいいのに。あんな奴等に父さんと母さんが殺されるなんて有り得ない。二人はきっと生きてアタシを迎えに来てくれる。
だから泣くな、耐えろ。
そう思い込んでしまいたいのに父の背中が嫌に鮮明に思い浮かぶ。
足止めをすると言った父は今どうなっている?
っ、嫌だ、やだ!
浮かんだのは残酷な結末で、それをどうにかして消し去りたいのにそれはどうやっても覆されることはない。
父さんと母さんはもういないの?
脳裏に浮かぶ疑問はいつしか肯定されていくようにも感じて、それが真実なのではないかとすら思い始めてしまう。