白い花のバラッドⅠ


 ————もうどうなってもいいや。



 アタシの脳裏に諦めが浮かんだ。

 二人との約束を忘れ諦めを選ぶのだ。


 ゆっくり振り返ると其処には一人の青年が立っていた。


 天界の人達だろうと思っていたが違っていたようだ。あの禍々しい殺気も、気持ち悪くなる威圧もない。


 それに気づいたら緊張の糸が途切れた。


 ボヤける視界の中で見えた青年は月を思わせるような雰囲気を纏った人のように感じた。



 綺麗……。


 この人になら殺されてもいいや。



 「………し…て…………」



 そう思った瞬間。

 口をついて出る言葉。



 「あ?」



 小さすぎて聞き取れなかったらしく、相手は訝しがる声を上げた。どんな表情をしているか全くわからないが、アタシはどうにか声を張る。



 「……こ…ろし……て…、」



 悲痛な響き持ったそれは相手に聞こえたかどうかはわからない。



 どうにか声を紡いだ途端、

 アタシの視界が暗くなり音が途切れた___




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