白い花のバラッドⅠ
「っ?!」
突然のことに身じろぎして困惑してしまう。
何故この人がアタシの名前を知っているんだろう、とか。
何故、アタシはこの人に抱きしめられているんだろう、とか。
とにかくこの綺麗な女性は誰なんだろう、とか。
ぐるぐる巡る疑問は尽きることはない。
「大丈夫かい!?怪我は!?」
彼女はアタシから体を離すと今度は肩を鷲掴みにして必死な形相で問いかけてくる。
「どこか痛いところは!?何もされてないかい!?具合はどうなんだい!?」
矢継ぎ早に問うてくるその女性はアタシに答えなんてものは求めていないのか、言葉を紡ぎながら必死にアタシの体にくまなく視線をよこした。
「……?」
突然現れた女性に気遣われ、抱きしめられたアタシは少々パニックになり言葉を発することすらおろか、声になどならなかった。