白い花のバラッドⅠ


 それに彼等は誰なんだろう。


 魔界ってことと、母の親友ってことから考えると『悪魔』なのかもしれないって答えには行き着くが、じゃあ獣耳の青年は何者なんだろう?


 「じゃあ、私はやることがあるんでね。お前たち後は頼むよ」


 ヨウカはアタシ以外の人達にそう言ってからアタシを抱きしめる。


 そして耳元で、
 

 「辛いかもしれないけど今は流れに身を任せるんだよ。悲しみは消えないけど瘉える日がくるから」

 
 そう囁いてからアタシの顔をしっかり見つめる。


 涙ぐむ彼女はニコリと力強く笑うと部屋を颯爽と出ていってしまった。



 ヨウカが部屋から出ていくと部屋はシーンと静まりかえった。


 嵐のような人だと素直に思ってしまいいなくなった彼女の背中を追うように扉を見つめ続けていると、


 「ヒカリ」


 不意に名前を呼ばれて声のした方を向くと、獣耳の青年と目が合う。


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