白い花のバラッドⅠ
「おい」
そのぶっきらぼうな言い方はアタシに向けられていると理解し、恐る恐る視線をやる。
「本当に怪我してねぇんだな?」
唐突に身体の心配をされるもんだから一瞬理解出来てなくて首をかしげて見せると、
「そのままの意味だろうが」
苛つきを含ませた声で返された。
理不尽すぎではないだろうか。一応混乱していて、状況がよくわかっていない相手にそんなに苛つくことはないんじゃないか。
「ない……」
なんでそんな怒ったふうに言われないといけないんだ。
そんなアタシの思いとは裏腹にユウの態度は変わらない。
「後で夕食を持ってこさせる。明日お前の部屋用意するから今日はここにいろ」
そう簡潔に言うとユウは立ち上がり、颯爽と歩いて部屋を出て行ってしまった。