白い花のバラッドⅠ


 まあ、本を読むことなんてたまにだけど。


 どちらかといえばアタシは外で駆け回ることのほうが好きだ。


 家に落ち着いていることは苦手で、森へ出て辺りを散歩することのほうが楽しい。


 アタシがそうやって森へ出掛けている間、二人はたまにひっそりと隠れて森を出ているらしい。


 アタシはそれを咎める気はない。


 アタシだけ森に置いて二人だけ狡い、なんて思うことはない。


 アタシは二人以上に見つかってはいけないらしいから、仕方のないことなんだと思うことにしている。



 それにこの暮らしに満足しているからだろうか、二人を困らせてまで外へ出たいなどと我儘を言う気はない。


 争いには巻き込まれたくないし、二人が死罪になるなんて嫌だからこのまま此処で穏やかに過ごしたい。
 
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