白い花のバラッドⅠ


 「おい、起きろって」



 低い声と身体を揺さぶる振動でアタシは目を覚ました。


 目に映るのはトーガが自分を心配そうに見る姿。


 何だか汗をかいている気がする。身体が熱い。


 「大丈夫か?魘されてたぞ」

 「………はぁ、」


 夢を見ていた気がする。

 なんの夢か思い出せないけど、いい夢ではないのだけは確かだ。


 身体が怠い。


 「嫌な夢でも見たのか?」


 アタシは横に首を振ってそれを否定を示した。

 別にトーガに言うほどのことでもないだろう。


 「………そうか」


 アタシは眠る前のようにトーガに擦り寄った。その腕で安心させてほしかった。


 それがわかったのかトーガは優しく包み込んでくれる。


 「これからユウが来る」


 心地の良い音が頭の上で鳴る。


 「部屋の用意ができたらしい。俺等朝まで寝てたんだってよ」


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