白い花のバラッドⅠ
 その瞳に冷たく見下ろされると身体が硬直してしまう。


 「ついて来い」


 それだけいうと足早に歩き出して部屋を出ていくのでアタシは急いでついていく。


 だけどユウに近付くのは怖いからある程度の距離を取る。


 部屋から出てみると長い回廊が続いていた。部屋は真っ白なのに廊下は漆黒。


 廊下の壁には大きくもない蝋燭があるから、明るいとまではいかないが薄暗くなっている。


 それは洋館を思わせるような作りで、その雰囲気は不気味だ。


 部屋は白で安心するのに、此処だけ黒。


 アタシは思わず前を歩くユウとの距離を縮めた。


 ユウはそれに気付き歩みを止めると、


 「あ?」


 低い威嚇するような声を発した。


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