深を知る雨
「なぁ。どないしたらあいつに会わせてくれる?」
「……そのことか。悪いがもうお前らとあいつを関わらせるつもりはない。あいつのことは忘れてくれ」
何であいつの人間関係をお前が管理しとんねんと突っ込みたいところを抑える。
「そこを何とか。少しでも体調悪そうにしとったら休ませるから。な?」
「お前には無理だ」
「……そーんなにあいつを独り占めしたいん?やーらし」
「は?」
「束縛しすぎやでおにーさん」
東宮は眉間に皺を寄せ、不快そうにこちらを見てくる。
「束縛しているわけではない」
[俺は、あいつを守らなければいけないんだ]
「ふーん?」
「ただ、お前らでは力不足だと言っているだけだ」
[お前らには到底任せられない。出会って間もない、あいつのことを何も知らない、あいつのブレーキになってやれないお前らには]
ブレーキ、ねぇ。とにかく東宮はあのチビに無茶をさせたくないわけか。
「力があればええってことやな?」
「……そういう問題ではない」
「じゃあどういう問題なん?めんどいからもうそういうことでええやろ。次の合同訓練で俺らが勝ったら関わらせてや。負けたらお前の言う通りあいつのことは諦めたるわ。悪くない条件やろ?お前、強いんやし」
「―――できるものならやってみろ」
少々苛立ってきたらしい東宮は、それだけ言って寮へ戻っていく。
……言質は取ったで、SランクのNo.4さん。