深を知る雨





溜め息を吐いてグラウンドを見下ろす。

哀と紺野芳孝は既にいなくなっていた。5体のロボットも消えていた。

まるでさっきまでの光景が嘘だったかのように。


一体哀は何者で、何のためにここにいるの。

何であんな知り合いがいるの。


聞きたいことは沢山あるのに、哀を前にしたらきっと聞けなくなるだろう。

俺にとって哀は大切な友達だ。

哀だって俺を友達だと思ってくれてる。

でも、哀には多分、“千端哀”以外の顔があって、“千端哀”以外の存在として俺と関わろうとはしない。

“千端哀”への質問なら喜んで答えてくれるのだろうが、多分それ以外の立場での自分には踏み込まれたくないと思っている。

それが分かるから俺は、超能力部隊のEランク隊員である“千端哀”に接し続ける。これからも。




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