深を知る雨


どうにか訓練中だけでもこの2人を纏めて東宮と戦わせようとしていた時、B、Cランクが訓練を行っている遠くの方がざわつき始め、不意に東宮が能力の使用を止めた。

「どうした」

東宮は険しい表情をしながら、よく通る低い声でB、Cランクの方に問い掛ける。

「け、怪我人が出ました…!」
「瞬間移動に失敗したみたいで…」

それを聞いた東宮は眉を寄せ、俺たちに「中止だ。自主訓練をやっていてくれ」と言い残し、B、Cランクの方へ行ってしまった。

残されたのは大きな氷の固まり。

チッと舌打ちした薫は、その固まりを水蒸気に変え、さっさと1人で訓練用の道具を取りに行ってしまう。

里緒は当たり前のように薫の行った方向とは逆方向にある倉庫へ訓練用の道具を取りに行く。

……お前ら……チームワークって知っとるか……?




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