みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

「そう、うちのクラスの藤川 澪(ふじかわ みお)くん。藤川くんがなんであの3人とよくいっしょにいるのかはわからないんだけど、あのビジュアルでしょ?かっこいいってだけで女子に人気なんだよ」

「そうなんだ」

「成績もいいし、運動もできるけど、ちょっと話しかけづらいっていうか、クールすぎてなに考えてるかわからないんだよね…ま!そこもミステリアスでかっこいいんだけど!」

 さえちゃんはそう説明を締めくくった。

 すごい人たちがいるんだなぁ…。

 ぼーっとにぎやかな集まりを見ていると、その集団が私たちのところにやってきた。

「え?え?こっちに来る?!」

 さえちゃんはそわそわと落ち着きなく、辺りを見回した。

 4人の男子生徒は、私の目の前でぴたりと足を止めた。

「あなたが、花宮 ちとせさん?」

 透き通るような声で、雪城先輩が私に問いかける。

「は、はい!」

 雪城先輩は優しく微笑むと、胸に手をあてた。

「僕は、雪城 結人。この学園の生徒会長をやっているんだ。外部からの転入生はめずらしいからね。先生から話は聞いてる。なにかわからないことや困ったことがあったら、生徒会室においで。かならず力になるからね」

「あ、ありがとうございます」

 にこりと笑った雪城先輩はそれだけ言って、私の前から去っていく。

 兎山くんがおどおどと私を見て会釈し、椿くんがにっと笑って手を振ってくれた。

 藤川くんとは目が合ったけれど、やっぱりなにかを言われることはなかった。

 やたらときらきらとした集団がいなくなって、辺りには静けさがもどる。

「だめだ…きらきらの過剰摂取(かじょうせっしゅ)すぎる…」

 ぺたんとその場に座りこんでしまいそうなさえちゃんを支えて、私たちはまた校舎めぐりを再会したのだった。


< 12 / 68 >

この作品をシェア

pagetop