みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
「そう、うちのクラスの藤川 澪くん。藤川くんがなんであの3人とよくいっしょにいるのかはわからないんだけど、あのビジュアルでしょ?かっこいいってだけで女子に人気なんだよ」
「そうなんだ」
「成績もいいし、運動もできるけど、ちょっと話しかけづらいっていうか、クールすぎてなに考えてるかわからないんだよね…ま!そこもミステリアスでかっこいいんだけど!」
さえちゃんはそう説明を締めくくった。
すごい人たちがいるんだなぁ…。
ぼーっとにぎやかな集まりを見ていると、その集団が私たちのところにやってきた。
「え?え?こっちに来る?!」
さえちゃんはそわそわと落ち着きなく、辺りを見回した。
4人の男子生徒は、私の目の前でぴたりと足を止めた。
「あなたが、花宮 ちとせさん?」
透き通るような声で、雪城先輩が私に問いかける。
「は、はい!」
雪城先輩は優しく微笑むと、胸に手をあてた。
「僕は、雪城 結人。この学園の生徒会長をやっているんだ。外部からの転入生はめずらしいからね。先生から話は聞いてる。なにかわからないことや困ったことがあったら、生徒会室においで。かならず力になるからね」
「あ、ありがとうございます」
にこりと笑った雪城先輩はそれだけ言って、私の前から去っていく。
兎山くんがおどおどと私を見て会釈し、椿くんがにっと笑って手を振ってくれた。
藤川くんとは目が合ったけれど、やっぱりなにかを言われることはなかった。
やたらときらきらとした集団がいなくなって、辺りには静けさがもどる。
「だめだ…きらきらの過剰摂取すぎる…」
ぺたんとその場に座りこんでしまいそうなさえちゃんを支えて、私たちはまた校舎めぐりを再会したのだった。