みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

「一日目終わったぁ~!」

 ぐーっと腕を高く伸ばす。

 初日で多少緊張していたせいか、少し肩がこってしまった。

 ひとまず、転入初日を無事に終われたことに、ほっと胸をなでおろした。

 さっそくお友達もできたし、クラスの子もみんな優しそうでよかった!

 あとは……。

「寮に行って、ルームメイトさんと仲良くなるぞ!」

 いざ寮生活!

 私はひとりで「おー!」と手を高く挙げた。

 のだけれど……。



「え!?わたしの部屋、ないんですか?!」

 寮の入口、受付にいた寮長さんと私は、同じように困ったように首をひねった。

 どうやら学園の手違いで、私の寮の手続きが忘れられていたみたい。

 部屋も余っていなくて、私が入れる部屋はないんだって。

 なんとか用意してくれるって話だけれど、いつになるかわからないって……。

「どうしよう……」

 今日は家に帰る?

 片道3時間もかかるけど、通えないことはない。しばらくの間はそうするしかないのかな…。

 私が途方に暮れながら学園の門まで戻ってくると、ちょうどそこには藤川くんがいた。

「あ、藤川くん」

「なにしてるんだ?」

 門の辺りでうろうろしていたのを見られていたのかな、藤川くんに「なにか忘れ物か?」と声をかけられた。

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