みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
「実は……」
私は寮生活をする予定だったけれど、手違いで部屋が用意されていなかったことを説明した。
「こっちに引っ越して来てすぐにお父さんお母さんの海外出張が決まったんだ。私がひとりになっちゃうのを心配してて、寮なら安心だからって、この学園に決めたんだけど…。ごめんね、こんなこと相談されても困っちゃうよね」
私は覚悟を決める。
仕方ない!一度家に戻ることにしよう!
ひとりで過ごすのは少し怖いけれど、そんなことを言っていてもどうにもならないもんね。
「ごめん、藤川くん。私、」
「うちの寮来れば?」
「え?」
藤川くんの口から発せられた言葉に、私は目を丸くする。
「部屋、なくて困ってるんだろ?うちの寮ならむだに部屋数も多いし、あんたがひとり増えるくらい問題ないと思うけど」
藤川くんは表情ひとつ変えず、さらっとそんなことを言った。
「え、本当にいいの?」
「いいけど……ただ、」
「ありがとう!ぜひお願いしますっ!!」
藤川くんの言葉に、私は前のめりになって飛びついた。
藤川くんがなにかを言いかけていたことに、気がつかないまま…。