みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
2 4人の王子様と裏の顔
「自己紹介しとこっかー」
ソファに座った私の目の前には、4人の学園の王子様。
そうさえちゃんから紹介されたはずなんだけど……。
「俺は雪城 結人~ってあれ?もしかしてさっき中庭であった…?」
「あ、はい!花宮 ちとせです!」
「だよね、そうそうちとせさんだ~」
雪城先輩はソファにごろんと身をあずけながら、ゆるりと話す。
やっぱり雪城先輩だった…!
さっき会ったときとあまりに雰囲気が違うから、もしかしたら違うひとかも?なんて思ったけど、あの凛とした生徒会長の雪城先輩だ。
さっきのかっこいい姿はかけらもないけれど……。
みんな学園で会ったときと、ぜんぜん雰囲気が違う。
雪城先輩は、起き上がることなく、他のメンバーを紹介する。
「このソファに隠れてる子が、椿 祐希ね。女の子がものすごい苦手なんだ。あんまり気にしないで」
「は、はぁ…」
椿くんと目が合うと、さっとソファの影に隠れてしまった。
さっき爽やかに手を振ってくれた椿くんはどこに行ったの…?
「んで、このちょっと生意気な後輩がうさちゃん」
「うさちゃん?」
私が雪城先輩に訊き返すと、兎山くんがすかさず訂正する。
「その呼び方やめてよね。中学生にもなってうさちゃんだなんて、ださいにもほどがあるでしょ」
おどおどとしていてかわいらしい印象だったはずなんだけど、中庭で見た兎山くんとは思えないほどきつい言い方だった。
「で、藤川先輩、なんでこんな女連れてきたわけ?」
兎山くんはにらむように藤川くんに視線を向けた。
しかし藤川くんは気にしたようすもなく、淡々と返す。