みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
2 4人の王子様と裏の顔


「自己紹介しとこっかー」

 ソファに座った私の目の前には、4人の学園の王子様。

 そうさえちゃんから紹介されたはずなんだけど……。

「俺は雪城 結人~ってあれ?もしかしてさっき中庭であった…?」

「あ、はい!花宮 ちとせです!」

「だよね、そうそうちとせさんだ~」

 雪城先輩はソファにごろんと身をあずけながら、ゆるりと話す。

 やっぱり雪城先輩だった…!

 さっき会ったときとあまりに雰囲気が違うから、もしかしたら違うひとかも?なんて思ったけど、あの凛とした生徒会長の雪城先輩だ。

 さっきのかっこいい姿はかけらもないけれど……。

 みんな学園で会ったときと、ぜんぜん雰囲気が違う。

 雪城先輩は、起き上がることなく、他のメンバーを紹介する。


「このソファに隠れてる子が、椿 祐希ね。女の子がものすごい苦手なんだ。あんまり気にしないで」

「は、はぁ…」

 椿くんと目が合うと、さっとソファの影に隠れてしまった。

 さっき爽やかに手を振ってくれた椿くんはどこに行ったの…?

「んで、このちょっと生意気な後輩がうさちゃん」

「うさちゃん?」

 私が雪城先輩に訊き返すと、兎山くんがすかさず訂正する。

「その呼び方やめてよね。中学生にもなってうさちゃんだなんて、ださいにもほどがあるでしょ」

 おどおどとしていてかわいらしい印象だったはずなんだけど、中庭で見た兎山くんとは思えないほどきつい言い方だった。

「で、藤川先輩、なんでこんな女連れてきたわけ?」

 兎山くんはにらむように藤川くんに視線を向けた。

 しかし藤川くんは気にしたようすもなく、淡々と返す。
< 17 / 52 >

この作品をシェア

pagetop