みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
「住む寮が手違いでないんだと。部屋余ってるだろ?そこに住んでもらうことになった」
「なるほど~」
「いやいや無理だろ…、女子といっしょに生活なんて…」
「はぁ!?藤川先輩ひとりで勝手に決めないでよね!」
三者三様の反応に、私はあわあわと見守ることしかできない。
「じゃあお前らはこいつを野宿させる気か?」
藤川くんがそう言うと、兎山くんは眉間にしわを寄せたけれど、それ以上なにかを言ってくることはなかった。
「ご迷惑はかけないようにするので!何卒よろしくお願いします!」
私はぺこりと頭を下げた。
「俺はぜんぜんかまわないけど~、ちとせちゃんかわいいし、男ばっかりでむさ苦しかったしね。いいんじゃない?」
雪城先輩がそうゆるっと言った。
「あ、ありが、」
「ただし!」
お礼を言おうとした私に、雪城先輩はこう付け足した。
「このことは他の生徒に言わないこと」
「え?」
「知ってると思うけど、僕たちってめちゃめちゃ人気者なんだ。そんな人気者の僕たちといっしょに住めるなんて、他の女子がどんな気持ちになるかわかるでしょ?」
「そ、そうですね…」
学園の王子様と呼ばれる4人と同じ寮に住んでいるだなんて、そんなことがみんなにばれたら……私、どうなっちゃうんだろう…?
今更だけれど、自分がとんでもないところに来てしまったことを自覚する。
「そういうわけだから、くれぐれも内密にね?」
「はい!」
「ん!じゃあ歓迎するよ!ちとせちゃん」
雪城先輩はにこりと笑った。
「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!」
椿くんは困ったように、兎山くんは少しむっとしたような表情のままだった。
なるべく迷惑をかけないように、ひっそり生活しなくては…!