みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

「住む寮が手違いでないんだと。部屋余ってるだろ?そこに住んでもらうことになった」

「なるほど~」

「いやいや無理だろ…、女子といっしょに生活なんて…」

「はぁ!?藤川先輩ひとりで勝手に決めないでよね!」

 三者三様の反応に、私はあわあわと見守ることしかできない。

「じゃあお前らはこいつを野宿させる気か?」

 藤川くんがそう言うと、兎山くんは眉間にしわを寄せたけれど、それ以上なにかを言ってくることはなかった。

「ご迷惑はかけないようにするので!何卒よろしくお願いします!」

 私はぺこりと頭を下げた。

「俺はぜんぜんかまわないけど~、ちとせちゃんかわいいし、男ばっかりでむさ苦しかったしね。いいんじゃない?」

 雪城先輩がそうゆるっと言った。

「あ、ありが、」

「ただし!」

 お礼を言おうとした私に、雪城先輩はこう付け足した。

「このことは他の生徒に言わないこと」

「え?」

「知ってると思うけど、僕たちってめちゃめちゃ人気者なんだ。そんな人気者の僕たちといっしょに住めるなんて、他の女子がどんな気持ちになるかわかるでしょ?」

「そ、そうですね…」

 学園の王子様と呼ばれる4人と同じ寮に住んでいるだなんて、そんなことがみんなにばれたら……私、どうなっちゃうんだろう…?

 今更だけれど、自分がとんでもないところに来てしまったことを自覚する。

「そういうわけだから、くれぐれも内密にね?」

「はい!」

「ん!じゃあ歓迎するよ!ちとせちゃん」

 雪城先輩はにこりと笑った。

「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!」

 椿くんは困ったように、兎山くんは少しむっとしたような表情のままだった。

 なるべく迷惑をかけないように、ひっそり生活しなくては…!
< 18 / 52 >

この作品をシェア

pagetop