みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

「あの、藤川くん、キッチンって借りられる…?」

 藤川くんはきょとんとしながらも了承してくれる。

「いいけど。なにか作るのか?」

「うん!ちょっとデザートにパウンドケーキでも焼こうかなって。すぐできるし」

 藤川くんの目が、一瞬きらりとかがやいた気がした。

 けれどそれは見間違いかと思うくらい一瞬のもので…。

「キッチンは自由に使っていい」

「ありがとう!」

 晩ご飯のあと片付けをさっさと済ませた私は、さっそく調理に取りかかる。

 広いキッチンには、オーブンも電子レンジも、立派なものが備え付けられている。

 調理器具もしっかりと整っていて、なにを作るにも不自由はしなさそうだった。

 こんな立派なキッチンを使わせてもらえるなんて…!

 私は感動しながら、パウンドケーキを焼いた。

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