みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

「椿くんもおいしいって思ってくれてるかな?」

 そうこっそり藤川くんに訊いたのだけど、藤川くんは目の前に座る椿くんにはっきり訊いた。

「祐希もおいしいかって、花宮が」

 びくっと顔を上げた椿くんは、こくこくとうなずく。

「よかったぁ~」

 おいしいって言ってもらえるのって、すっごくうれしい!

 それでいて笑顔になれるような、心が温かくなるようなケーキを作るのが目標!

 えへへ、と私がうれし笑いをこぼしていると、藤川くんが私の顔を覗きこんできた。

 そのあまりの近さに驚いて、私は目を瞬かせる。

「ど、どうしたの?藤川くん?」

 藤川くんはなにも言わず、私の顔をじーっとながめ続ける。

 生クリームでも付いてたかな?

 そう思い、顔をぺたぺたと触ってみる。

 うん、たぶんなにもついていなはず…。

 しばらく私の顔をながめていた藤川くんは、少し首をかしげると、「なんでもない」と言ってまたパウンドケーキをつつきはじめた。

「???」

 なんだったんだろう……?


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