みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

 コンコン、と部屋がノックされて、「朝ごはんできたけど」という藤川くんの声とともに扉が開かれた。

 藤川くんは私と雪城先輩を見て、一瞬ぽかんとし、それからものすごい勢いで部屋に入ってきた。

「結人、お前またか!」

 そう言って雪城先輩の首根っこをつかむ。

「また間違えちゃった!えへ」

「えへじゃない!あれほど気をつけるように言っただろ!ほらさっさと行くぞ」

 藤川くんは雪城先輩を引きずって私の部屋を出て行った。


 朝食の席にやってくると、朝ごはんがきれいにテーブルに並べられていた。

「わあ!おいしそう!!」

 トーストにスクランブルエッグ、ソーセージ、モッツァレラチーズの乗ったサラダに、コーヒーまで用意されてる!

 トーストに塗るジャムなんて、何種類も置かれていて、どれを付けて食べようか迷っちゃう!

「好きなの選んでいいから」

 私のとなりに座った藤川くんが、いちごのジャムを手に取りながらそう言った。

「これ、藤川くんが用意したの!?」

「そうだけど」

「すっごくおいしそうっ!」

 昨日も思ったけれど、藤川くんって料理がすごく上手なんだ!

 晩ご飯もおいしかったし、朝ごはんもとってもおいしそう!

「ひとりで作るの大変だったでしょう?明日からは私も手伝うね!」

「別に。作るの好きだから」

「え、」

 もしかしてケーキを作ったりも好き?

 そう訊こうと口を開きかけると、雪城先輩がゆるっとテーブルについた。
< 26 / 52 >

この作品をシェア

pagetop