みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
5 生徒会長と本当の自分
「ただいまぁ~、お腹空いたぁ~」
ふらふらと帰ってきた雪城先輩は、やっぱりさっきのかっこいい生徒会長の姿はなくて、昨晩見ただらしない雪城先輩だった。
「ちょっと!制服しわになるよ!」
兎山くんに注意されても、「え~、脱ぐのめんどくさーい」と言って、ソファにダイブしている。
あのカリスマ生徒会長が、本当はだらしない王子様なんだってこと、みんなは知らないんだよね…。
私たちだけが知っている生徒会長の本当の顔。
でも、普段ものすごくがんばってる反動でもあるんだよね、きっと。
「ほら、結人、ご飯できてるぞ」
藤川くんがテーブルにご飯を並べていく。
「わーい!澪大好き~」
藤川くんに抱き着く雪城先輩。
藤川くんはそれを鬱陶しそうに引きはがしている。
4人でご飯を食べて、それが終わってから私はデザート用に作っておいたケーキをテーブルに並べた。
「雪城先輩、今日はありがとうございました!」
「ちとせちゃんもありがと~、とっても助かったよ」
「これ、作ったので、よかったらみんなで食べませんか?」
雪城先輩は目を丸くして机の上のケーキをながめる。
「これ、ガトーショコラ?」
「そうです!やっぱり疲れたときには甘いもの、です!」
「すごいね、ちとせちゃん、料理系の部活に興味持ってたから得意なのかとは思ってたけど、ケーキ焼けるんだ?」
「はい!料理よりもケーキを焼く方が得意です!あ、兎山くんと椿くんもよければぜひぜひ!」
「まぁ、貰っておこうかな」
「い、いただきます…」
「藤川くんも、」
「食べる」
私の言葉が言い終わるか終わらないかのうちに、藤川くんは私のとなりに座ってフォークをにぎる。