みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

「ありがとう、ちとせちゃん。さっそくいただきます」

 雪城先輩が手を合わせると、みんなも「いただきます」と言ってケーキにフォークを刺した。

「どうかな?」

 私は3人のようすをうかがいながら、ちびちびとガトーショコラを口に運ぶ。

 自分ではとってもおいしく焼けたと思うんだけど、お口に合うかどうかは、いつだって不安だ。

「うん!すっごくおいしいよ!」

「ふーん、あんたケーキ作れるんだ」

「おいしい…」

 雪城先輩、兎山くん、椿くんからそれぞれの感想がもれる。

「藤川くんは、」

 となりに座る藤川くんを見ると、いつもクールな切れ長の瞳が、うれしそうに笑みを形作っていた。

 その表情に、どこか既視感を憶える。

 あれ…?なんだろうこの感じ…?

 私の視線に気がついた藤川くんは、いつものように無表情に戻ってしまった。

「うまいよ」

「あ、うん、ありがとう…」

 なんだったんだろう?今の感じ…?

「ねえ、ガトーショコラってどうやって作るの?」

「え、あ、混ぜて焼くだけだからとっても簡単で…」

 兎山くんの質問に答えているうちに、藤川くんに対する違和感のことはすっかり私の頭から抜けてしまったのだった。

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