みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
ケーキを食べながらのおしゃべりも一段落して、それぞれが自分の部屋に戻って行った。
昨日と同じようにソファで眠ってしまった雪城先輩を残して。
「いつもこうだから放っておいていい…、って藤川くんには言われたけど…」
ソファで気持ち良さそうに眠る雪城先輩。
眠っている顔も、まさに王子様って感じできれい。
起きてだれもいない談話室はさびしくないかな、と思って、私はそばで宿題に取り組むことにした。
そうしてしばらくすると、ぼやっとした表情で雪城先輩が起き上がった。
「あれ……いまなんじ…?」
「もうすぐ夜の9時です」
雪城先輩は起き上がって、私のとなりにやってくる。
「ちとせちゃんだけ?」
「はい、みんなはもう部屋に戻りましたよ」
「そっかぁ…」
私もそろそろ戻ろうと教科書やノートを片付けはじめる。
「がっかりしたでしょ?」
「え?」
雪城先輩の言葉に、私は顔を上げた。
「カリスマ生徒会長、なんて呼ばれてる僕が、家ではだらしなくてなにもひとりじゃできないこと」
「え、そんなこと…」
「僕は本当は生徒会長なんてがらじゃないんだ。ちとせちゃんも知ってると思うけど、てきぱきと行動するのは苦手だし、だらだらするのが一番好きなんだ。それなのにみんな、すごいすごいって感謝してくれて」
雪城先輩がなんだか自嘲気味に笑うので、私は思わず口をはさんでいた。