みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
「雪城先輩はすごいひとですよ?」
「え?」
「今日先輩の仕事を見ていて思いました。雪城先輩は、ひとのことを一番に考えてあげられる、とっても心の優しいひとなんだなって。ふだん学園生活を楽しく送れるようにとか、部活動をするのに不便がないようにだとか。そうやってみんなの話を聞いて、解決してあげられるなんて、なかなかできないと思います!」
雪城先輩と部活動をまわっているときに会った、ハンドボール部員のことを思い出す。
「みんな雪城先輩に感謝しているし、そんな優しい雪城先輩だからこそ、私たちはかっこいいと思うしあこがれるんです。家でだらだらしちゃうくらいいいじゃないですか。それだけ先輩はいつもがんばってるんです!」
転入してきたばかりで、なにもわからない私を思って、校内の見回りに同行させてくれたんだ。
こんなに優しくて他人想いなひと、なかなかいないと私は思う。
「だらだらしてもいいんです。疲れたときは、またいっしょにケーキでも食べましょう!」
私の言葉を目を丸くして聞いていた雪城先輩は、眉を下げてきれいに笑った。
「ありがとう、ちとせちゃん」