みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

「ふーっ、さっぱりしたぁ」

 晩ご飯を終えて、ゆっくりとお風呂に浸かった。一日の癒しのひとときだ。

 ここの寮はお風呂もすっごく広くて、どこかの温泉旅館に来たみたい。

 今日は体育の授業もあって疲れていたけれど、ゆったり浸かってすっかり疲れがとれちゃった。

 大きな鏡の前で髪を乾かして、最後に脚に保湿クリームを塗る。

 すると。

 ガラッと音がして脱衣所の扉がスライドした。

 振り返った私は、扉の前で固まっている椿くんとばっちり目が合った。

「ごごごごごごめん!!!」

 勢いよく扉を閉める椿くん。

 私はあわてて、廊下に出た。

 すると椿くんが壁に寄りかかりながらしゃがみこんでいた。

「いるの知らなくて…ほんとごめん…」

 そう申し訳なさそうにつぶやく。

「私こそごめんね!使用中の札に替えておくの忘れちゃってた」

 私がお風呂を借りるときは、扉の前につるされた札を「使用中」に替えなくてはいけない。

 今日は疲れていたせいですっかり忘れちゃってたみたい。

「俺、見ちゃいけないもの見た…?」

「ううん!服もちゃんと着てたし、保湿クリーム塗ってただけだから、ぜんぜん大丈夫だよ」

「それならよかった……」

 安心したみたいに深い息をつく椿くん。
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