みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい

 祐希くんとの女の子克服練習は、学園内ではなかなか難しかった。

 祐希くんは人気者だし、廊下で話しかけてみても…。

「祐希くん」

「お!花宮さん!元気?」

「うん、とっても」

「午後の授業すげー眠いけど、がんばろーな!」

「うん」

 と言った感じで、いつもの明るい陸上部の王子様の祐希くんが出てきてしまうため、まったく練習にならなかった。

 なので、やっぱり祐希くんとのおしゃべりは寮が一番だと思った。

「祐希くん、いっしょに宿題やらない?」

「えっ、あ、うん…いいけど…」

 談話室のテーブル席に横並びで座る。

「今日習った数学の単元なんだけど、ちょっといまいちしっくりきてなくて…。祐希くんは数学得意?」

「あ、うん…。その単元ならうちのクラスはもう終わってるから、教えられると思う…」

「ありがとう!教えて教えて!」

 祐希くんの負担にならない程度に、友達とよくするようなことにチャレンジしていく。

 宿題を教え合ったり、今日うちのクラスではこんなことがあったよ、なんて話したり。

 気のせいかもしれないけれど、はじめて会ったときよりも祐希くんが私と話すことに慣れてきているような気がした。

 このまま他の女の子とも話せるようになるといいなぁ。

「俺も入れて」

「え?」

 私と祐希くんが宿題と向かい合っていると、となりに澪くんがやってきた。

「あ、うん!もちろん」
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