みんなだまされてますっ!~イケメン達の裏の顔はめんどくさい
12 ミステリアスな王子様


 4人の学園の王子様と同じ寮で生活するようになって、二カ月ほどが経ちました。

「あー、やっぱり晩ご飯食べるとだめだぁ…眠くなってきちゃった…」

 そう言って私に寄りかかる生徒会長の雪城先輩。

「ちょっと!寝るなら自分の部屋行けっていつも言ってるでしょ!?花宮先輩困ってるじゃん!」

 かわいい見た目に反して少し言葉遣いの荒い兎山くん。

「ちとせ!今日も一緒に宿題済ませちゃおうぜ!」

 明るく元気な祐希くん。

 そして。

「ええっと、どうしたら…」

「悪いが、花宮はこのあと俺と予定あるから」

 私が困っていると、いつも呆れたように手助けしてくれる澪くん。

「えー、そうなの~?もう少しちとせちゃんと一緒にいたかったのに~」

「ちとせと澪が用事なんてめずらし。じゃあ今日はひとりで宿題なんとかしてみるよ」

「花宮先輩、また絵のモデル頼むからよろしく」

「うん」

 みんな優しくていいひとたちだけれど、なんだかここ最近急にみんなとの距離が近いような気がする。

 私は澪くんといっしょにキッチンへとやってきて、洗い物をはじめる。

「澪くん、さっきはありがとう」

「なにが?」

「私が困ってたから、澪くんと予定がある、なんて言って間に入ってくれたんだよね?」

 澪くんは周りをしっかり見ていて、この寮のお母さん的な存在だと私は思ってる。

「ちとせもちとせだろ。嫌なら断れ」

「別に嫌なわけじゃないよ」

「ふーん」

 素気ない返事をしたかと思うと、澪くんはずいっと私に顔を寄せた。

 そのあまりの距離の近さに、私は驚いて固まってしまう。

「じゃあ、本当に俺の予定に付き合ってくれる?」

「え、え?」

「嫌じゃないんだろ?」
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