神殺しのクロノスタシス1
お待たせしました~、と届けられたカレーを一口食べて。

「うぇ。あんま美味しくない…」

羽久はカレーをスプーンですくいながら、渋い顔。

「美味しくないの?」

「レトルトの味がする」

きっとレトルトなんだろう。仕方がない。

このピザもポテトもホットケーキも、多分冷凍のものを温めただけなんだろうし。

分かってるんだよ。でも食べてみたい。

「まぁ良いや…食べるか…」

羽久は、我慢してカレーを食べ始めた。

美味しくはないが、食べられないほどではない、ってところか。

「そっちのピザは?」

「美味しいけど…美味しいけど、まぁ冷凍ものの味だねぇ」

こればかりは仕方がない。

まさかこの店で生地をこねて釜で焼く訳にもいかず。

店員さんの手間を考えれば、冷凍を温めるのが最適なんだってことは分かる。

まぁまぁ。この値段でこの味なら、むしろ良いじゃないか。

「羽久もどーぞ、はい」

「どーも。…ってか何が嬉しくておっさんとネカフェで飯食わなきゃならんのだ」

ぶつぶつ言わない。

「それにしてもネットカフェって良いねぇ。ちょっと狭いけど。個室だし、ドリンク飲み放題だし。シャワーやコインランドリーまで使えるって。ほら」

「ご利用案内」の説明文を指差す。

これに、加えて、ネット使い放題、漫画も読み放題なんでしょ?

毛布も備え付けてある。泊まれるねこれ。

もう家要らないよ。住めるよネットカフェ。

これで一日5000円前後なんでしょ?

案外そこらのホテルより全然快適だよ。

ちょっと狭いけどさ。

「知らないよ…住めば?家とイーニシュフェルト捨ててネカフェに住めば?」

「それは嫌です」

学院長はやめたくないです。はい。

それは続けさせてください。

「そんな話はどうでも良いんだよ。それより、本当にこんな方法で犯人が見つかるのか?」

羽久は片手でスプーン、片手でマウスを器用に動かしながら、うんざりとそう聞いた。
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