神殺しのクロノスタシス1
それに。

「情報源が確かなものなのか、判別つかないんだよ」

ネットだから、本当の情報も勿論あるけど。

中には、想像や願望が混ざった適当な情報を、それらしく書いてる人もいるだろう。

それが本当の情報なのか、私達には分からない。

「この事件とか…。『報道では女の子は絞殺されて死んだことになってるけど、実は犯人に切り刻まれて、バラバラにされてドブに捨てられたんだ』って書き込みが、掲示板で主流になってる。本当か嘘か知らないけど」

うわぁ。

どっちにしても胸糞悪い事件であることに変わりない。

「掲示板だと、どうしても…事件を『面白く』盛ってしまうからね」

他人の不幸は蜜の味、ってことなのだろうか?

女の子が殺されたという悲惨な事件なのに、掲示板の書き込みは何処までも他人事で、しかも楽しそうでさえあった。

そういうものなのかなぁ…。世知辛い。

一緒に悲しめ、とまでは言わないが…。

「あとは、大昔の事件。何百年も前の…。伝説なのかお伽噺なのか、実話なのか知らないけど…」

「あー、あるあるそういうの…」

大昔、何処かの◯◯公爵が女の子を次々に殺して…みたいな。

あれは実話なのかなぁ?

どちらかというと、もう都市伝説に近いと思う。

でも、そういう情報もヒットしちゃうんだよなぁ。ネット検索だと。

「大体さ、こんな…『女児殺人事件』みたいな暗いニュースを長時間調べるのが、精神的に辛い」

「うん…。それは…同意」

一杯ヒットするからね。

こんな嫌なニュース、長時間調べるのは確かに辛いだろう。

ご丁寧にも、無駄に詳しく殺害方法を書いてあるサイトもあるしね。

そういうのを見てると、気が滅入るのは仕方ない。

「私もしんどいよ。こういうニュースは…」

「シルナは余計辛いだろうね。大好きな幼女が殺されてるんだから…」

「成人男性でもお年寄りでも、同じように悲しみます」

失礼な。勝手にロリコン扱いしないでよ。

「とにかく羽久、ちょっと交代しようよ。ポテトとピザ食べて…シャワーも浴びておいで。二人いるんだから、交代で調べよう」

「あぁ、うん、そうする…」

本当に疲れていたようで、羽久はマウスから手を離した。

狭いけど、一応横になれるスペースもあるから…少し、仮眠を取ると良い。
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