神殺しのクロノスタシス1
そこに書かれていたのは、驚くべき内容だった。

「…とんでもないサイコパスだな、おい」

これには、羽久もドン引きであった。

…テレビでは、ただ「猟奇的な殺人」と報道されていた。

心臓がなくなっていたことも報道されていた。

でも、喉を貫かれたにも関わらず、現場にほとんど血が残されていなかったこと。

代わりに、喉の刺し傷に犯人のものと思われる唾液が採取されたこと…等が、事細かに記してあった。

現場にほとんど血がなく、代わりに喉の傷に犯人の唾液。

つまり。

「…血を飲んだってことじゃないかよ」

「…」

「…本当に吸血鬼なんじゃないの」

あの書き込み…あながち間違ってなかったんだな。

笑えない冗談だと思っていたよ。

「全く救いようのない奴だ。どうする?しょっぴいて首はねるか?」

羽久は見るからにイライラしていた。

こんな猟奇的な殺人、捕まれば当然死刑だろうね。

ただ彼、色んな国で同様の犯行を繰り返してるから…どの国の法律で裁けば良いのか分からないけど。

ルーデュニアの法律で裁くとしたら、死刑は確定だ。

だけど…。

「…首をはねる必要はないよ、羽久」

「あ?何で?」

「…犯人が分かった」

何故犯人が、毎月のように少女を殺すのか。

何故少女の血を啜るのか。

その理由が分かった。
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