神殺しのクロノスタシス1
─────吐月君と一時的に別れを告げ、ルーデュニア本国へ戻った私達は。
「シルナ。あいつ…どうやって助けるつもりなんだ?」
「んー…」
「何だよんーって。そもそもあの魔物は何なんだ?」
あ、それは分かる。
「毎月のように血と心臓を啜るって聞いて、ピンと来たんだよ。そんな魔物がいたはずだってね」
「厄介なのか?」
「うん。純粋に強いよ。魔物の中でも、かなり上位に位置してる」
古くから冥界に住む、人ならざる異形の生き物。
それが、魔物と呼ばれる生き物である。
魔物が私達人間世界に出てくることは、ほとんどない。
というか、基本的に魔物は媒介がなければ、人間世界には出られないはずなのだ。
出てこられても、精々数分程度。
魔物が人間世界で長時間暮らすには、人間に「喚ばれ」、その人間の魔力と同化…つまり、自分を喚んだ人間を契約者とし、その魔力に寄生しなければ生きられない。
その為、魔物は別名、召喚魔とも言われる。
雪刃というあの魔物は、恐らく契約者を求めて人間世界に姿を現し。
そこで、格好の獲物…吐月君を見つけた。
「吐月君の魔力は、魔導師の中でも天下一品だよ。あれほど魔力の多い子は、うちの生徒でもなかなかいない」
「…確かにな」
しかも、あの子はただ魔力が多いだけではない。
「それにあの子の魔力は、物凄く魔物が憑依しやすいんだ。こればかりは体質の問題だよ」
生まれながらに魔物が憑依しやすい体質というのはあるのだ。
あの子は…魔物に憑かれやすい。
雪刃にとっては、寄生先としてこの上ない逸材だったのだろう。
魔力は多いわ、憑きやすい体質をしているわ。
だから、あの子が選ばれてしまった。
「つまり…あいつは何も悪くないのに、勝手に魔物に取り憑かれて、脅されて、人殺しを強制されてた訳だな」
「そういうことになるね」
そうとも知らず、彼を猟奇殺人犯扱いして…申し訳ないことをしてしまった。
悪いのは、断じて吐月君ではない。
全て、雪刃という彼の中の化け物がやらせたことなのだ。
「シルナ。あいつ…どうやって助けるつもりなんだ?」
「んー…」
「何だよんーって。そもそもあの魔物は何なんだ?」
あ、それは分かる。
「毎月のように血と心臓を啜るって聞いて、ピンと来たんだよ。そんな魔物がいたはずだってね」
「厄介なのか?」
「うん。純粋に強いよ。魔物の中でも、かなり上位に位置してる」
古くから冥界に住む、人ならざる異形の生き物。
それが、魔物と呼ばれる生き物である。
魔物が私達人間世界に出てくることは、ほとんどない。
というか、基本的に魔物は媒介がなければ、人間世界には出られないはずなのだ。
出てこられても、精々数分程度。
魔物が人間世界で長時間暮らすには、人間に「喚ばれ」、その人間の魔力と同化…つまり、自分を喚んだ人間を契約者とし、その魔力に寄生しなければ生きられない。
その為、魔物は別名、召喚魔とも言われる。
雪刃というあの魔物は、恐らく契約者を求めて人間世界に姿を現し。
そこで、格好の獲物…吐月君を見つけた。
「吐月君の魔力は、魔導師の中でも天下一品だよ。あれほど魔力の多い子は、うちの生徒でもなかなかいない」
「…確かにな」
しかも、あの子はただ魔力が多いだけではない。
「それにあの子の魔力は、物凄く魔物が憑依しやすいんだ。こればかりは体質の問題だよ」
生まれながらに魔物が憑依しやすい体質というのはあるのだ。
あの子は…魔物に憑かれやすい。
雪刃にとっては、寄生先としてこの上ない逸材だったのだろう。
魔力は多いわ、憑きやすい体質をしているわ。
だから、あの子が選ばれてしまった。
「つまり…あいつは何も悪くないのに、勝手に魔物に取り憑かれて、脅されて、人殺しを強制されてた訳だな」
「そういうことになるね」
そうとも知らず、彼を猟奇殺人犯扱いして…申し訳ないことをしてしまった。
悪いのは、断じて吐月君ではない。
全て、雪刃という彼の中の化け物がやらせたことなのだ。