神殺しのクロノスタシス1
この歳で、まさか牢屋に入れられるとは。

私まだ罪状が確定した訳じゃないはずなのに、何で既に囚人扱いなんだろう。

しかし私、ついこの間まで吐月君を助ける為に色々な時空を転々としてたのに。

ようやく帰ってきたと思ったら、今度はさむ~いブタ箱住まいとは。

人生って分からないものだなぁ。

でも、さすがにあまり嬉しくはない。

牢屋は狭いし、寒いし、四方をコンクリートの壁に囲まれ、酷く殺風景だった。

ここにいたらやっぱり、噂の臭い飯を食べることになるのだろうか。

いや、私魔力量が多いから、食事をする必要はあまりないんだけども…。

とにかく、刑務所体験ツアーなんて御免だから、早く冤罪を解いて、学院に帰りたい。

と、思っていたのに。

早く取り調べして、と言っても、静かにしてろと怒られる始末。

私何もしてないよ~悪いこと…。

いや、でもこれだけ囚人扱いされるってことは、無意識のうちに何か悪いことしちゃったのかな?

魔導教育法違犯だと言っていたから、多分学院運営の関係で、何か悪いことをしたと疑われてるんだろうな。

…うーん…。

これでも、学院を運営するに当たって、ルーデュニア聖王国の魔導教育法は、しっかり熟読したはずなんだけど。

それどころか、暗記までしてるくらいなんだけど。

頭の中で、暗記した魔導教育法をそらんじてみたが。

…うん。やっぱり、引っ掛かるところは見つからない。

どの国のどの法律にも、所謂法律の穴と呼ばれるものが少なからずあることは知っている。

それを鑑みても、ここまで露骨に犯罪者扱いされる覚えはないのだが…。

私は一体、何をしたと思われているのだろう?
< 169 / 669 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop