神殺しのクロノスタシス1
アイナがいては、もう説教は出来ない。
もう夜も遅いのだから、アイナを寝かせなくては。
そして、アトラスさんが傍にいないと、アイナは寝室にすら行かないだろう。
仕方なく、私はアイナに免じて、お説教を切り上げることにした。
全くもう。アトラスさんも分かっていて、アイナと一緒に寝る、と言ってるんじゃなかろうな。
「おかあしゃまも。はやくはやく」
「はいはい。今行きますよ」
アイナに袖を引っ張られ、私はアイナを宥めながら一緒に寝室に向かった。
何だか上手く丸め込まれたような気がしなくもないが、娘の顔を見ていたら、私も怒りが消えてしまった。
大きなベッドに、アイナを真ん中に挟むようにして、家族で川の字で横になる。
「アイナ、今日は良い子にしてたか?」
アイナが可愛くて堪らないらしいアトラスさんは、アイナの頭を撫でながらそう聞いた。
毎日聞いてる。これ。
「うん。してたよ」
「そうか、そうか。アイナは良い子だな」
「えへへ…」
本当に今日アイナが良い子だったのかは、私達には分からない。
エレンに聞いてみないことには。
しかしアトラスさんはいつもこう。アイナの自己申告で、良い子だったと頭を撫でる。
全く、娘が可愛いのは分かるけど、たまにはもっとこう…父親の威厳と言うか、ビシッとして欲しいときもあるのだが。
どうやらアトラスさんには、無理な相談であるらしい。
かく言う私も。
「おかあしゃま、ごほんをよんで」
と、娘に頼まれてしまうと。
もう遅いんだから早く寝なさいとか、ご本は明るいうちにとか言って、叱らなきゃならないと分かっているのに。
「…仕方ありませんね。じゃあ、一冊だけですよ」
ついつい、私はベッドサイドに置いてある本を一冊手に取って、広げて読んであげた。
ちなみに私が読むのはいつも魔導書で、まだ幼いアイナには、到底分かるはずがないのだけど。
私が魔導書を読むときの声は、アイナにとって子守唄であるらしく。
ほんの十分と読まないうちに、アイナは小さな寝息を立てていた。
「ふぅ…。ようやく寝てくれましたね。全く、まだまだ小さな子供のようなんですから」
「まだまだ小さな子供だからな。アイナは」
「あなたがそうやって甘やかすから…もう」
とは、言っても。
私もあまり、人のことは言えないのだけど。
アトラスさんは、寝息を立てる小さな娘の髪を、いとおしそうに撫でた。
その様子を見ると、私は今日も、心が温かくなった。
良かった。私の娘は愛されてる。父親からも母親からも、こんなにも愛してもらってる。
私の娘なのに…ちゃんと大事にしてもらってるんだ。
そう思うと、私は嬉しかった。
もう夜も遅いのだから、アイナを寝かせなくては。
そして、アトラスさんが傍にいないと、アイナは寝室にすら行かないだろう。
仕方なく、私はアイナに免じて、お説教を切り上げることにした。
全くもう。アトラスさんも分かっていて、アイナと一緒に寝る、と言ってるんじゃなかろうな。
「おかあしゃまも。はやくはやく」
「はいはい。今行きますよ」
アイナに袖を引っ張られ、私はアイナを宥めながら一緒に寝室に向かった。
何だか上手く丸め込まれたような気がしなくもないが、娘の顔を見ていたら、私も怒りが消えてしまった。
大きなベッドに、アイナを真ん中に挟むようにして、家族で川の字で横になる。
「アイナ、今日は良い子にしてたか?」
アイナが可愛くて堪らないらしいアトラスさんは、アイナの頭を撫でながらそう聞いた。
毎日聞いてる。これ。
「うん。してたよ」
「そうか、そうか。アイナは良い子だな」
「えへへ…」
本当に今日アイナが良い子だったのかは、私達には分からない。
エレンに聞いてみないことには。
しかしアトラスさんはいつもこう。アイナの自己申告で、良い子だったと頭を撫でる。
全く、娘が可愛いのは分かるけど、たまにはもっとこう…父親の威厳と言うか、ビシッとして欲しいときもあるのだが。
どうやらアトラスさんには、無理な相談であるらしい。
かく言う私も。
「おかあしゃま、ごほんをよんで」
と、娘に頼まれてしまうと。
もう遅いんだから早く寝なさいとか、ご本は明るいうちにとか言って、叱らなきゃならないと分かっているのに。
「…仕方ありませんね。じゃあ、一冊だけですよ」
ついつい、私はベッドサイドに置いてある本を一冊手に取って、広げて読んであげた。
ちなみに私が読むのはいつも魔導書で、まだ幼いアイナには、到底分かるはずがないのだけど。
私が魔導書を読むときの声は、アイナにとって子守唄であるらしく。
ほんの十分と読まないうちに、アイナは小さな寝息を立てていた。
「ふぅ…。ようやく寝てくれましたね。全く、まだまだ小さな子供のようなんですから」
「まだまだ小さな子供だからな。アイナは」
「あなたがそうやって甘やかすから…もう」
とは、言っても。
私もあまり、人のことは言えないのだけど。
アトラスさんは、寝息を立てる小さな娘の髪を、いとおしそうに撫でた。
その様子を見ると、私は今日も、心が温かくなった。
良かった。私の娘は愛されてる。父親からも母親からも、こんなにも愛してもらってる。
私の娘なのに…ちゃんと大事にしてもらってるんだ。
そう思うと、私は嬉しかった。