神殺しのクロノスタシス1
「よしよし…」
「…」
二十音は、私に抱きついたまま眠っていた。
これで落ち着いたかな。
ちょっと強引な…荒療治ではあったけど。
「な、何だったんだ…?」
置いてきぼりの警官。
私の助けがあと一秒でも遅れたら、今頃あの世にいたであろうことに、気づいていないんだろうな。
平和だ。
ともかく、こうなってしまったからには仕方ない。
「…もう、終わりにしよう」
「な、何を…」
「何を、か…。そうだね、まずは…ずっと気になってた君の正体から、明らかにしてみようか」
「!?」
私は一瞬で、警官の一人に肉薄した。
ずっと私を手荒く尋問していた担当官の男だ。
驚いて身を退こうとしたが、もう遅い。
私は、彼の顔を掴んで、無理矢理引きちぎった。
よくよく見ないと気づかなかった。
彼が、「魔法で作った偽物の顔」を仮面代わりにして、自分の素顔を隠していることに。
「…!」
案の定、引き剥がした仮面の下には、担当官の素顔が隠れていた。
そして。
「…女の子…」
腰まで届く長い髪。
仮面の下は、女の子の顔が隠されていた。
成程…。性別まで偽っていたのか。
「君…名前は?何故私に冤罪を…」
「…黙りなさい」
彼改め彼女は、憎しみのこもった目で私を睨んだ。
そんな風に睨まれても…私は彼女に会ったこともないはずなんだけどな。
まぁ、私を憎む人間は世の中に少なくないと思うから、その一人なのかもしれない。
「忌々しい魔導師が…!私は魔導師を、この世から消す為に…!」
あぁ…そういうこと。
この女の子は、魔導師排斥論者なのか。
そういう人間が、この国に一定数いることは知っていたが…。
すると。
「ん…?」
「あ、おはよう」
意識を失っていた二十音が、目を覚ました。
いや、もう二十音じゃないかもしれない。
「君は誰?」
「あ…?羽久だけど…」
この喋り方、成程羽久だ。
お帰り。
良かった。まだ二十音のままだったら、また眠らせなければならないところだった。
「…何がどうなってんだ?これは」
風穴の空いた牢屋。髪の長い担当官を交互に見て。
「…シルナ。三行で」
「うーん…。1.『前の君』が出てくる。2.牢屋を破壊。3.担当官の正体が、魔導師排斥論者の女の子だと判明」
「はぁ…?色々衝撃展開だが…」
とりあえず、分かりやすくまとめてみたものの。
ずっと眠っていたのであろう羽久にとっては、展開の変化が早過ぎてついていけないんだろうなぁ。
「魔法で作った仮面で、顔を隠してたらしいよ」
「そんな奴が魔導師排斥論者…?甚だしい矛盾だな」
うん。私もそう思った。
「…」
二十音は、私に抱きついたまま眠っていた。
これで落ち着いたかな。
ちょっと強引な…荒療治ではあったけど。
「な、何だったんだ…?」
置いてきぼりの警官。
私の助けがあと一秒でも遅れたら、今頃あの世にいたであろうことに、気づいていないんだろうな。
平和だ。
ともかく、こうなってしまったからには仕方ない。
「…もう、終わりにしよう」
「な、何を…」
「何を、か…。そうだね、まずは…ずっと気になってた君の正体から、明らかにしてみようか」
「!?」
私は一瞬で、警官の一人に肉薄した。
ずっと私を手荒く尋問していた担当官の男だ。
驚いて身を退こうとしたが、もう遅い。
私は、彼の顔を掴んで、無理矢理引きちぎった。
よくよく見ないと気づかなかった。
彼が、「魔法で作った偽物の顔」を仮面代わりにして、自分の素顔を隠していることに。
「…!」
案の定、引き剥がした仮面の下には、担当官の素顔が隠れていた。
そして。
「…女の子…」
腰まで届く長い髪。
仮面の下は、女の子の顔が隠されていた。
成程…。性別まで偽っていたのか。
「君…名前は?何故私に冤罪を…」
「…黙りなさい」
彼改め彼女は、憎しみのこもった目で私を睨んだ。
そんな風に睨まれても…私は彼女に会ったこともないはずなんだけどな。
まぁ、私を憎む人間は世の中に少なくないと思うから、その一人なのかもしれない。
「忌々しい魔導師が…!私は魔導師を、この世から消す為に…!」
あぁ…そういうこと。
この女の子は、魔導師排斥論者なのか。
そういう人間が、この国に一定数いることは知っていたが…。
すると。
「ん…?」
「あ、おはよう」
意識を失っていた二十音が、目を覚ました。
いや、もう二十音じゃないかもしれない。
「君は誰?」
「あ…?羽久だけど…」
この喋り方、成程羽久だ。
お帰り。
良かった。まだ二十音のままだったら、また眠らせなければならないところだった。
「…何がどうなってんだ?これは」
風穴の空いた牢屋。髪の長い担当官を交互に見て。
「…シルナ。三行で」
「うーん…。1.『前の君』が出てくる。2.牢屋を破壊。3.担当官の正体が、魔導師排斥論者の女の子だと判明」
「はぁ…?色々衝撃展開だが…」
とりあえず、分かりやすくまとめてみたものの。
ずっと眠っていたのであろう羽久にとっては、展開の変化が早過ぎてついていけないんだろうなぁ。
「魔法で作った仮面で、顔を隠してたらしいよ」
「そんな奴が魔導師排斥論者…?甚だしい矛盾だな」
うん。私もそう思った。