神殺しのクロノスタシス1
シルナ・エインリーの言う通り。
私は魔導師の身でありながら、魔導師排斥論者でもある。
何故、私がそうなったのか。
それは、私の故郷での出来事がきっかけだ。
私の生まれた里は、ルーデュニアの端っこにそびえ立つ山の奥にある、外の社会とは隔絶された一族が住んでいた。
外の世界とはほとんど関わりがなく、自分達だけで暮らしていた。
それだけに、まだ魔法の概念が浸透していなくて、里の中で魔法が使える人間は私一人しかいなかった。
私の持つ不思議な力に、里の人々は皆目を丸くして驚いた。
これが世に言う「魔法」というものか、と。
閉鎖された社会ではあったが、私が魔法を使えることで、里の人々に迫害されるようなことはなかった。
中には「怪しげな力だ」と忌避する人もいたけれど、多くの人々が好意的に受け止めた。
というのも、私は里の人を守る為に魔法を使ったから。
あの頃の私は、所謂「便利な」魔法しか使っていなかった。
日照り続きで雨が降らないときは、水魔法で畑に水を降らせ。
火を起こすときは、私の炎魔法で簡単に火をつけられた。
怪我や病でも、私の治癒魔法で治すことが出来た。
この治癒魔法のお陰だろう。私が里の中で受け入れられたのは。
それまで、里には質の高い医療機関がなかった。
病気になったり、森の中で取ってきた薬草を煎じて飲んだり。
怪我をしても、傷口を洗って、植物の実を磨り潰して作った軟膏を塗るくらいしか出来なかった。
当然、そんな治療では大した効果はなく、自己治癒力に任せるか、あるいはもう諦めるしかなかった。
しかし私の魔法は、即死レベルの酷い怪我でもなければ、大抵の怪我や病気は治すことが出来た。
足を踏み外して谷に転落し、全身を骨折した子供がいても。
これまでは、為すすべなく死ぬのを見守るしかなかったが。
すぐにその場に私が呼ばれ、治癒魔法をかけたところ…一命を取り留めることが出来た。
命を助けられた子供は勿論、その子の両親からは、土下座せんばかりに感謝された。
そして、里の人々にとっても…次代を継ぐ子供は、宝のような存在。子供の命が助かったことで、皆が喜んだ。
誰もが私の魔法を喜んでくれた。
誰もが私の魔法を頼りにしてくれた。
誰もが私の魔法を認めてくれた。
私はそれが嬉しかった。里の皆の役に立てるのが、何よりも嬉しかった。
里の皆を助ける為に、もっともっとたくさん魔法を勉強しようと思った。
あの頃、私にとって、そして里の人々にとっても、魔法は希望だった。
希望以外の何物でもなかった。
私は魔導師の身でありながら、魔導師排斥論者でもある。
何故、私がそうなったのか。
それは、私の故郷での出来事がきっかけだ。
私の生まれた里は、ルーデュニアの端っこにそびえ立つ山の奥にある、外の社会とは隔絶された一族が住んでいた。
外の世界とはほとんど関わりがなく、自分達だけで暮らしていた。
それだけに、まだ魔法の概念が浸透していなくて、里の中で魔法が使える人間は私一人しかいなかった。
私の持つ不思議な力に、里の人々は皆目を丸くして驚いた。
これが世に言う「魔法」というものか、と。
閉鎖された社会ではあったが、私が魔法を使えることで、里の人々に迫害されるようなことはなかった。
中には「怪しげな力だ」と忌避する人もいたけれど、多くの人々が好意的に受け止めた。
というのも、私は里の人を守る為に魔法を使ったから。
あの頃の私は、所謂「便利な」魔法しか使っていなかった。
日照り続きで雨が降らないときは、水魔法で畑に水を降らせ。
火を起こすときは、私の炎魔法で簡単に火をつけられた。
怪我や病でも、私の治癒魔法で治すことが出来た。
この治癒魔法のお陰だろう。私が里の中で受け入れられたのは。
それまで、里には質の高い医療機関がなかった。
病気になったり、森の中で取ってきた薬草を煎じて飲んだり。
怪我をしても、傷口を洗って、植物の実を磨り潰して作った軟膏を塗るくらいしか出来なかった。
当然、そんな治療では大した効果はなく、自己治癒力に任せるか、あるいはもう諦めるしかなかった。
しかし私の魔法は、即死レベルの酷い怪我でもなければ、大抵の怪我や病気は治すことが出来た。
足を踏み外して谷に転落し、全身を骨折した子供がいても。
これまでは、為すすべなく死ぬのを見守るしかなかったが。
すぐにその場に私が呼ばれ、治癒魔法をかけたところ…一命を取り留めることが出来た。
命を助けられた子供は勿論、その子の両親からは、土下座せんばかりに感謝された。
そして、里の人々にとっても…次代を継ぐ子供は、宝のような存在。子供の命が助かったことで、皆が喜んだ。
誰もが私の魔法を喜んでくれた。
誰もが私の魔法を頼りにしてくれた。
誰もが私の魔法を認めてくれた。
私はそれが嬉しかった。里の皆の役に立てるのが、何よりも嬉しかった。
里の皆を助ける為に、もっともっとたくさん魔法を勉強しようと思った。
あの頃、私にとって、そして里の人々にとっても、魔法は希望だった。
希望以外の何物でもなかった。