神殺しのクロノスタシス1
十歳の誕生日を迎えた頃。

私は孤児院を出て、地方にある小さな魔導師養成学校に入学した。

イーニシュフェルト魔導学院とは比べ物にならないくらい小さく、授業の質も悪い学校だった。

その学校は、頭が良く、魔導適性もあるけれど、お金がなくて魔導師養成校に入れない生徒の為に、学費免除の入学枠があった。

私はその枠で合格し、孤児院を出て、魔導師養成校に入った。

孤児院を出るチャンスだったから、積極的に勉強したお陰だ。

とはいえ、その学校も、孤児院と大して変わらなかった。

クラスメイトや、寮のルームメイトからは、露骨に嫌われていた。

いじめも、変わらずに受けていた。

だが、私は構わなかった。

それよりも、知識を吸収することの方に一生懸命だったからだ。

孤児院にいた頃から、私の友達は本だけだった。

一人で過ごす時間が長かったものだから、読書量だけは人一倍、いや…人三倍くらいはあった。

学校に入ると、孤児院にいた頃より、ずっと多くの書物に触れる機会があった。

私は学校の図書館に入り浸り、魔導書を読み耽った。

そこで、知識を吸収していった。

あの学校には四年ほどいたが、授業や試験の思い出はほとんどない。

ほぼ毎日、本ばかり読んでいた記憶しかない。

けれど、その時間があったからこそ。

私は、充分な知識を身につけることが出来たのだと思う。
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