神殺しのクロノスタシス1
監禁されていた五人は、すぐに見つかった。
五人共、檻の向こうに俺達を見つけて、まるで地獄に一本の糸が垂らされたかのように喜んだ。
憔悴しているが、一応生きてはいるようだ。
「よ、良かった…!助かった…!」
「あ、ありがとう!君達は命の恩人だ!」
「…」
Jさん達は、口々に感謝の言葉を並べ立てたが。
俺達には、ちっともその言葉が届かなかった。
「はいはい。さっさと出て」
本来亜空間なんて、人間のいて良いところじゃないんだからさ。
五人を連れて現実に戻ると、そこには放心したように項垂れるグリード。
そんなグリードを見て、Jさんが声を荒らげた。
「お前っ…!ふざけたことしやがって!」
そして、Kさんも。
「自分が何をやったのか分かってるのか?この犯罪者が!」
LさんとMさんも。
「絶対に許さないからな。訴えてやる!」
「お前はこれでもう終わりだ!破滅させてや…」
「いい加減にしろよ、お前ら」
怯えるグリードの代わりに、俺が五人にそう言った。
「お前らに、こいつを責める資格があると思ってんのか?こいつにここまでさせたのは誰だと思ってんだ?」
「…!」
五人共、青天の霹靂みたいな顔をした。
自分達が何をやったのか、まるで理解していないようだ。
そうだろうな。
グリードが何でこんなことをしたのか、こいつらは全然分かってない。
「悪いのは確かにグリードだ。でもこれは復讐なんだ。お前らがグリードに何もしなければ、グリードの心を傷つけなければ、グリードだって、復讐なんてしなくて済んだんだよ!自分達だけが被害者みたいな顔してんじゃねぇ!」
許せなかったんだろう。グリードは。
許せなかったから、こんなことをした。
グリードがこいつらを許せなかったのも、無理はない。
それだけのことをされてきたのだから。
「お前らにしてみりゃ、ガキのお遊びだったのかもしれないが…。そのお遊びに、何年も…今も、苦しめられている人間がいるんだよ。お前らがへらへら笑って、幸せを享受してる間もな」
「…」
嫌と言うほど、思い知らされたことだろう。
自分達が、どれほど恨まれているのか。
これからも、ずっと恨まれるのであろうことも。
「…人を不幸にした人間が、幸福になる権利はない…とまでは言いませんけど」
ルイーシュが、五人を軽蔑の眼差しで見つめた。
「でも、自分が不幸にした人間がいるってこと、自分を憎んでる人間がいるってことは、いかなるときでも忘れるべきではないと思いますよ」
…それを忘れたが故に、こいつは今回、こうして足元を掬われたんだろうな。
五人共、項垂れて無言だった。
自分達の過去の行いのせいで、グリードに復讐されたんだってことは、分かってるようだな。
良い心掛けだ。
「おい、お前もめそめそしてないで起きろよ」
俺は、グリードの腕を掴んで立たせた。
「当然お前は裁かれるけど、でも禁書に唆されたんだろうし、動機が動機だから情状酌量の余地もある。それほど重い罰にはならないように便宜も図ってやるよ」
「…」
「…もうお母さん苦労させんなよ。折角良い機会なんだ。ちっとは外を見てみろよ。お前の部屋の中にはなかった辛いもんと…それから楽しいもんが、たくさんあるからさ」
グリードは、ハッとして顔を上げた。
こいつがこれから、どんな風に生きていくのか。
楽しみだ。
五人共、檻の向こうに俺達を見つけて、まるで地獄に一本の糸が垂らされたかのように喜んだ。
憔悴しているが、一応生きてはいるようだ。
「よ、良かった…!助かった…!」
「あ、ありがとう!君達は命の恩人だ!」
「…」
Jさん達は、口々に感謝の言葉を並べ立てたが。
俺達には、ちっともその言葉が届かなかった。
「はいはい。さっさと出て」
本来亜空間なんて、人間のいて良いところじゃないんだからさ。
五人を連れて現実に戻ると、そこには放心したように項垂れるグリード。
そんなグリードを見て、Jさんが声を荒らげた。
「お前っ…!ふざけたことしやがって!」
そして、Kさんも。
「自分が何をやったのか分かってるのか?この犯罪者が!」
LさんとMさんも。
「絶対に許さないからな。訴えてやる!」
「お前はこれでもう終わりだ!破滅させてや…」
「いい加減にしろよ、お前ら」
怯えるグリードの代わりに、俺が五人にそう言った。
「お前らに、こいつを責める資格があると思ってんのか?こいつにここまでさせたのは誰だと思ってんだ?」
「…!」
五人共、青天の霹靂みたいな顔をした。
自分達が何をやったのか、まるで理解していないようだ。
そうだろうな。
グリードが何でこんなことをしたのか、こいつらは全然分かってない。
「悪いのは確かにグリードだ。でもこれは復讐なんだ。お前らがグリードに何もしなければ、グリードの心を傷つけなければ、グリードだって、復讐なんてしなくて済んだんだよ!自分達だけが被害者みたいな顔してんじゃねぇ!」
許せなかったんだろう。グリードは。
許せなかったから、こんなことをした。
グリードがこいつらを許せなかったのも、無理はない。
それだけのことをされてきたのだから。
「お前らにしてみりゃ、ガキのお遊びだったのかもしれないが…。そのお遊びに、何年も…今も、苦しめられている人間がいるんだよ。お前らがへらへら笑って、幸せを享受してる間もな」
「…」
嫌と言うほど、思い知らされたことだろう。
自分達が、どれほど恨まれているのか。
これからも、ずっと恨まれるのであろうことも。
「…人を不幸にした人間が、幸福になる権利はない…とまでは言いませんけど」
ルイーシュが、五人を軽蔑の眼差しで見つめた。
「でも、自分が不幸にした人間がいるってこと、自分を憎んでる人間がいるってことは、いかなるときでも忘れるべきではないと思いますよ」
…それを忘れたが故に、こいつは今回、こうして足元を掬われたんだろうな。
五人共、項垂れて無言だった。
自分達の過去の行いのせいで、グリードに復讐されたんだってことは、分かってるようだな。
良い心掛けだ。
「おい、お前もめそめそしてないで起きろよ」
俺は、グリードの腕を掴んで立たせた。
「当然お前は裁かれるけど、でも禁書に唆されたんだろうし、動機が動機だから情状酌量の余地もある。それほど重い罰にはならないように便宜も図ってやるよ」
「…」
「…もうお母さん苦労させんなよ。折角良い機会なんだ。ちっとは外を見てみろよ。お前の部屋の中にはなかった辛いもんと…それから楽しいもんが、たくさんあるからさ」
グリードは、ハッとして顔を上げた。
こいつがこれから、どんな風に生きていくのか。
楽しみだ。