神殺しのクロノスタシス1
こうして、南方都市シャネオンで起きた、連続失踪事件は幕を閉じ。

無事に『禁忌の黒魔導書』も回収したことだし。

俺とルイーシュは、役目を終えて王都セレーナに帰還することになった…のだが。






「…なぁルイーシュ」

「はい?」

「…お前、何やってんの?」

「何もやってませんよ」

うん。間違ってない。

君、何もしてないよね。

それどころか、自分の足で歩いてさえいないよね。

ルイーシュは、当然のこととばかりに俺の背中にへばりついていた。

何これ。

何で俺、こんなでっかい息子をおんぶしてんの?

「降りろ」

「嫌です」

即答しやがった。

「俺頑張ったじゃないですか、たくさん。だからもう歩けな~い。キュレムさんが運んでくれるって言いました~」

「何が歩けな~いだ。自分で立て!甘えんな!首輪つけて引きずって帰るぞ!」

「良いですよ、それでも」

良いんかい。

やらないけどさ。

俺がそんな暴挙に出るはずはないと知りながら、わざと甘えてるな?さては。

…分かったよ。

ルイーシュだけ置いて帰ったら、学院長が「相棒はどうしたの?」と聞くに決まってる。

いつから相棒になったんだ、こいつは。

こんなでっかい子供を相棒にした覚えはないぞ。
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