神殺しのクロノスタシス1
街行く人々の痛い視線を感じながら、俺達は王都に帰ってきた。

「折角シャネオンまで行ってきたのに、ろくに観光もしてないんですよ、俺達。本当、何しに行ったんだか…」

「失踪事件の謎を解決しに行ったんだよ。馬鹿」

遊びに行ったんじゃねーんだぞ。分かってんのか。

本来の目的を忘れるな。

「お土産だってちょっとしか買えませんでしたし」

何でちょっとは買ってんだよ。

「はぁ、もう疲れた。早く帰って寝ましょうよ」

「お前、俺の背中で散々寝てたじゃん。更に寝るのかよ」

寝過ぎだろ。

「それより、先にシュニィんとこ行くぞ。報告しに」

「えー…。再来週くらいで良いじゃないですか…」

「せめて来週にしろよ」

どんだけ後回しにするつもりだ。

後に回すから、余計面倒臭くなるんだよ。

さっさと済ませようぜ。

「ほら、さっさと行くぞ。俺だって面倒臭いんだからさ」

「眠い…」

「寝るな。ったく人のやる気を削ぐことにかけちゃ、お前の右に出る者はいないな」

そんな奴に、もう何年付き合ってると思ってんだよ。頭痛くなってくるよ。
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