神殺しのクロノスタシス1
それにしても、聖魔騎士団で団長を務めるほどの実力を持つアトラスさんが、何で余るのか、と言ったら。
それは別にアトラスさんの人柄とか実力の問題ではなく。
単に、アトラスさんが魔法を使えないからに他ならない。
皆が魔法を使う試験なのに、アトラスさんは魔法が使えないから、戦力としてカウントされていなかったのである。
基本的に魔導師は、生まれつき選ばれた人間しかなれないせいか、剣士や弓兵を見下す傾向がある。
「自分達は選ばれた魔導師である」という意識が強いのだ。
国内最高峰の魔導師養成校たる、イーニシュフェルト魔導学院の生徒なんだから、尚更そうだ。
だから、剣士のアトラスさんと一緒に組むなんて、皆嫌がったのだ。
魔法の使えないアトラスさんと組んでも、実質一人で勝負するようなもの。
何で自らハンデを背負わなければならないのかと、皆アトラスさんを無視してペアを組み。
結果余り物となって、余り物同士で私と組む羽目になったと。
見たところ人柄は悪くないのに、魔法が使えないというだけでこれなのだから、気の毒だなぁとは思ったが。
アトラスさんは全く気にしていないようだった。
それどころか。
ペアが決まった翌日の放課後、アトラスさんは私の教室を訪ねてきた。
何をしに来たのかと思ったら、彼の目的は私だった。
「あの…廊下であなたを呼んでる人がいるけど」
クラスメイトが、私に声をかけてきた。
「え…?」
私を呼ぶ人がいるなんて、イーニシュフェルトに来てからは初めてだった。
一体何事かと思って、慌てて廊下に出ると。
そこにいたのはアトラスさんだった。
「シュニィ!良かった、まだ帰ってなかったな」
「え、アトラスさん…?どうしたんですか?」
わざわざ私のもとに来るなんて。
もしかして、「やっぱり新しいペアが決まったからごめん」と言われるのだろうか。
それならそれでも別に…と、思ったら。
「これから一緒に、模擬戦の練習をしよう」
「…は?」
私は思わず、ぽかんとしてしまった。
…模擬戦?練習?
「…?何か予定でもあるのか?」
「え?いえ…ありませんけど…」
そう答えると、アトラスさんはパッと顔を明るくして、私に手を差し出した。
「なら行こう。練習して、今のうちに息を合わせておかないと」
「は、はい…」
試験の為に練習するのは、何も珍しいことではない。
むしろこの時期は、訓練場は模擬戦の練習をする生徒で大賑わいだ。
今までノー練で試験に挑んでいた私の方がおかしいくらいなのだ。
だから、練習をすることは珍しくもなんともないが…。
まさか、私に声をかけに来るなんて思わなかったから…自分には関係ないとたかを括っていた。
「…分かりました。行きましょう」
「あぁ。頑張ろう」
このときは、熱心な人だな、と思ったくらいだった。
あと、ちょっと面倒だな、とも思った。
どうせ試験が終わったらそれでお別れなのだから、何でこんなに真面目に頑張ろうとするのか…私には、さっぱり分からなかった。
まぁ、交換留学生だから。
少しでも実績を積んでおきたいと思ったのだろう。
それは別にアトラスさんの人柄とか実力の問題ではなく。
単に、アトラスさんが魔法を使えないからに他ならない。
皆が魔法を使う試験なのに、アトラスさんは魔法が使えないから、戦力としてカウントされていなかったのである。
基本的に魔導師は、生まれつき選ばれた人間しかなれないせいか、剣士や弓兵を見下す傾向がある。
「自分達は選ばれた魔導師である」という意識が強いのだ。
国内最高峰の魔導師養成校たる、イーニシュフェルト魔導学院の生徒なんだから、尚更そうだ。
だから、剣士のアトラスさんと一緒に組むなんて、皆嫌がったのだ。
魔法の使えないアトラスさんと組んでも、実質一人で勝負するようなもの。
何で自らハンデを背負わなければならないのかと、皆アトラスさんを無視してペアを組み。
結果余り物となって、余り物同士で私と組む羽目になったと。
見たところ人柄は悪くないのに、魔法が使えないというだけでこれなのだから、気の毒だなぁとは思ったが。
アトラスさんは全く気にしていないようだった。
それどころか。
ペアが決まった翌日の放課後、アトラスさんは私の教室を訪ねてきた。
何をしに来たのかと思ったら、彼の目的は私だった。
「あの…廊下であなたを呼んでる人がいるけど」
クラスメイトが、私に声をかけてきた。
「え…?」
私を呼ぶ人がいるなんて、イーニシュフェルトに来てからは初めてだった。
一体何事かと思って、慌てて廊下に出ると。
そこにいたのはアトラスさんだった。
「シュニィ!良かった、まだ帰ってなかったな」
「え、アトラスさん…?どうしたんですか?」
わざわざ私のもとに来るなんて。
もしかして、「やっぱり新しいペアが決まったからごめん」と言われるのだろうか。
それならそれでも別に…と、思ったら。
「これから一緒に、模擬戦の練習をしよう」
「…は?」
私は思わず、ぽかんとしてしまった。
…模擬戦?練習?
「…?何か予定でもあるのか?」
「え?いえ…ありませんけど…」
そう答えると、アトラスさんはパッと顔を明るくして、私に手を差し出した。
「なら行こう。練習して、今のうちに息を合わせておかないと」
「は、はい…」
試験の為に練習するのは、何も珍しいことではない。
むしろこの時期は、訓練場は模擬戦の練習をする生徒で大賑わいだ。
今までノー練で試験に挑んでいた私の方がおかしいくらいなのだ。
だから、練習をすることは珍しくもなんともないが…。
まさか、私に声をかけに来るなんて思わなかったから…自分には関係ないとたかを括っていた。
「…分かりました。行きましょう」
「あぁ。頑張ろう」
このときは、熱心な人だな、と思ったくらいだった。
あと、ちょっと面倒だな、とも思った。
どうせ試験が終わったらそれでお別れなのだから、何でこんなに真面目に頑張ろうとするのか…私には、さっぱり分からなかった。
まぁ、交換留学生だから。
少しでも実績を積んでおきたいと思ったのだろう。