神殺しのクロノスタシス1
sideジュリス
──────…さてと。
マキナスとサナキを逃がしたのは良いが。
俺はと言うと、絶賛大ピンチだな。
「…君は、事情を知っていそうな顔だね」
こんな…見るからにヤバそうな奴が相手とは。
「…」
「さっきの彼を追い返したのは、仲間の目を憚らずに魔法を使う為?」
…ほらな。
俺の正体も、あっさりバレてる。
「…この世界に、魔法なんてねぇよ」
「でも君の世界にはある。そうだね?ジュリス君…君は魔導師だ」
…まぁ、見たら分かるよな。あんたくらいの手練になれば。
俺だって、サナキを見た瞬間に気づいたのだから。
あぁ、こいつは同類だ、って。
俺と同じ…魔法を使える不思議な世界から来たんだ、って。
「君達が連れていったあの子、私達の仲間なんだよ。返してくれる?」
「それは無理だ。さっき言ったろ」
「それは無理だよ。私達はあの子を探して、千年も時空をさまよってきた。そんな長い旅路の果てに、ようやく見つけたんだから…。手ぶらで帰る訳にはいかない」
帰さないのなら、いかなる手段でも使う。
そう言いたそうじゃないか。
そして、実際そのつもりなのだろう。
この二人を相手にするのは、俺もいささか骨が折れそうだ。
…魔法なんて使うのは、何千年ぶりだしな。
でも。
「…あんたらが、サナキの敵でない保証は何処にもない」
サナキの過去。あいつの「妄想」。
それがこいつらにとって作り出されたものなら。
こいつらが…サナキを奴隷にする為に連れ戻そうとしているのなら。
俺は、それを止める。
「あんたらが何者か分からねぇ以上、サナキを渡す訳にはいかないな」
「…」
サナキを連れ戻しに来た中年の男は、品定めでもするように俺を見つめた。
一方もう一人の女は、完全にやる気満々のようで。
「…それはこちらの台詞です。羽久さんは返してもらいます」
そっちがその気ならかかってこい、と言わんばかり。
羽久…羽久ねぇ。
それが…サナキの前の名前なのか。
「…ごめんね」
中年の男が、溜め息混じりにそう言った。
穏やかではあるが、目は本気だった。
「…私はあの子を返してもらわなきゃならないんだ。イーニシュフェルトと、シルナ・エインリーの名に懸けて…あの子は返してもらう」
「…!?」
この、男。
今、何と言った?
マキナスとサナキを逃がしたのは良いが。
俺はと言うと、絶賛大ピンチだな。
「…君は、事情を知っていそうな顔だね」
こんな…見るからにヤバそうな奴が相手とは。
「…」
「さっきの彼を追い返したのは、仲間の目を憚らずに魔法を使う為?」
…ほらな。
俺の正体も、あっさりバレてる。
「…この世界に、魔法なんてねぇよ」
「でも君の世界にはある。そうだね?ジュリス君…君は魔導師だ」
…まぁ、見たら分かるよな。あんたくらいの手練になれば。
俺だって、サナキを見た瞬間に気づいたのだから。
あぁ、こいつは同類だ、って。
俺と同じ…魔法を使える不思議な世界から来たんだ、って。
「君達が連れていったあの子、私達の仲間なんだよ。返してくれる?」
「それは無理だ。さっき言ったろ」
「それは無理だよ。私達はあの子を探して、千年も時空をさまよってきた。そんな長い旅路の果てに、ようやく見つけたんだから…。手ぶらで帰る訳にはいかない」
帰さないのなら、いかなる手段でも使う。
そう言いたそうじゃないか。
そして、実際そのつもりなのだろう。
この二人を相手にするのは、俺もいささか骨が折れそうだ。
…魔法なんて使うのは、何千年ぶりだしな。
でも。
「…あんたらが、サナキの敵でない保証は何処にもない」
サナキの過去。あいつの「妄想」。
それがこいつらにとって作り出されたものなら。
こいつらが…サナキを奴隷にする為に連れ戻そうとしているのなら。
俺は、それを止める。
「あんたらが何者か分からねぇ以上、サナキを渡す訳にはいかないな」
「…」
サナキを連れ戻しに来た中年の男は、品定めでもするように俺を見つめた。
一方もう一人の女は、完全にやる気満々のようで。
「…それはこちらの台詞です。羽久さんは返してもらいます」
そっちがその気ならかかってこい、と言わんばかり。
羽久…羽久ねぇ。
それが…サナキの前の名前なのか。
「…ごめんね」
中年の男が、溜め息混じりにそう言った。
穏やかではあるが、目は本気だった。
「…私はあの子を返してもらわなきゃならないんだ。イーニシュフェルトと、シルナ・エインリーの名に懸けて…あの子は返してもらう」
「…!?」
この、男。
今、何と言った?