神殺しのクロノスタシス1
やって来たのは、昨日のOさんよりもう少し若そうな、好青年。

「こんにちは。ここ、探偵事務所ですよね?」

「あ、はい…。どうぞ」

アシバが来客用のソファに案内し、ウルミが来客にお茶を出した。

「それで…。今日はどうしました?」

来客の対応をしているのはアシバだが、俺とイズチも聞き耳を立てていた。

特にイズチは、今度こそ浮気調査と失せ物探し以外の依頼が来ないものかと、わくわくしていた。

そして確かに、その用件は…いつものうんざりする案件ではなかった。

「…生き別れの、妹を探して欲しいんです」

「妹さん…ですか?」

「はい…」

青年は、切なそうに目を伏せた。

…どうやら、妻が浮気しているかもしれないんです…という話ではなさそうで、少しホッとしたが。

生き別れの妹を探して欲しい…という依頼も、あまり愉快なものではなさそうだ。
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