神殺しのクロノスタシス1
詳しく、話を聞いてみたところによると。
クライアントの名前は、エルク・シークス。
彼には二歳年下の妹がいたが、幼い頃両親が離婚して、自身は父親に、妹は母親にそれぞれ引き取られ。
それ以来、一度も妹には会っていないし、消息も不明。
連絡先も分からないと言う。
先日、長年患っていた父が亡くなり、それを契機に母親の行方を探したが、母親は数年前、病気で亡くなっていたことが分かった。
しかし妹の行方だけは分からず、あらゆる手を使って調べてみたものの、結局見つからなかった。
困りかねて、藁にもすがる思いで探偵事務所の門を叩いた、と。
そういうことらしい。
「そうでしたか…」
…浮気調査とは、また違った切なさがある。
生き別れの妹を探したい…。しかもその妹の生死は不明…。
探したは良いが、もう死んでました、なんてことにもなりかねない。
それなりの覚悟はして来ていると思うが…。
「…引き受けて頂けないでしょうか」
エルク・シークスは、すがるような眼差しでアシバに頼み込んだ。
「引き受けて頂けるなら、報酬はいくらでも払います。私にはもう、妹しかいないんです…」
「エルクさん…」
「別れたとき、妹はまだ幼かった。きっと私のことは覚えていないでしょう。でも…紛れもなく私達は兄妹です。生きているのなら会いたいし、困っているなら援助もしたい…。どうか、妹を探してください」
瞳に涙を滲ませながら、彼は深々と頭を下げた。
クライアントの名前は、エルク・シークス。
彼には二歳年下の妹がいたが、幼い頃両親が離婚して、自身は父親に、妹は母親にそれぞれ引き取られ。
それ以来、一度も妹には会っていないし、消息も不明。
連絡先も分からないと言う。
先日、長年患っていた父が亡くなり、それを契機に母親の行方を探したが、母親は数年前、病気で亡くなっていたことが分かった。
しかし妹の行方だけは分からず、あらゆる手を使って調べてみたものの、結局見つからなかった。
困りかねて、藁にもすがる思いで探偵事務所の門を叩いた、と。
そういうことらしい。
「そうでしたか…」
…浮気調査とは、また違った切なさがある。
生き別れの妹を探したい…。しかもその妹の生死は不明…。
探したは良いが、もう死んでました、なんてことにもなりかねない。
それなりの覚悟はして来ていると思うが…。
「…引き受けて頂けないでしょうか」
エルク・シークスは、すがるような眼差しでアシバに頼み込んだ。
「引き受けて頂けるなら、報酬はいくらでも払います。私にはもう、妹しかいないんです…」
「エルクさん…」
「別れたとき、妹はまだ幼かった。きっと私のことは覚えていないでしょう。でも…紛れもなく私達は兄妹です。生きているのなら会いたいし、困っているなら援助もしたい…。どうか、妹を探してください」
瞳に涙を滲ませながら、彼は深々と頭を下げた。