神殺しのクロノスタシス1
sideシュニィ
─────…あんな恥ずかしいやり取りが、覗かれていたなんて知ったら…私は羞恥のあまり、二度と学院長の顔を真っ直ぐ見れなかったに違いないが。
自分が覗かれていたなんてちっとも知らないので、今日も私は、元気に学校に通っていた。
そんなある日。
授業と授業の間の短い小休憩のときのこと。
いきなり、廊下をドタドタと走る、騒がしい音が聞こえてきたと思ったら。
「シュニィ!済まん!」
教室中に響き渡るような大きな声で、アトラスさんが私の教室に飛び込んできた。
私はびっくりして、読んでいた本を落としてしまった。
他のクラスメイトも、何事かとびっくりしていた。
「な、何?」
「シュニィいるか!何処だ?」
「こ、ここです」
手を上げると、アトラスさんはハッとして、遠慮なく教室に入ってきて、私のもとまで駆けてきた。
「い、一体何事ですか?」
「済まん!悪いんだが、大至急、『雷魔法応用Ⅲ』のテキスト、貸してくれないか」
「え…?」
テキストを貸す…?それはまた、何故?
「忘れたんですか?」
それなら、学生寮は学校の目の前なのだから、アトラスさんの超ダッシュで取りに行けるのでは?
と思ったら。
「いや…昨日、課題をやろうとしてたんだが…寝惚けて、テキストにお茶溢して…」
アトラスさんは、お茶が染み込んで、でっちょりとしたテキストを、指で摘まんで見せてくれた。
あーあ…。あんなことになって…。
「本当に済まん!一時間だけ貸してくれ!頼む!」
「それは良いですけど…。私、テキストに結構書き込みしてますよ?」
「大丈夫だから!気にしないから」
それなら良いけど。
あ、それから。
「アトラスさん、次の授業にこれ使うんですよね?」
「あぁ」
「その次の授業は、今度はうちのクラスが雷魔法の授業なので。授業終わったらすぐに返してくれますか?」
「分かった!授業終わったら、急いで返しに来る」
「お願いしますね」
私は『雷魔法応用Ⅲ』のテキストを、アトラスさんに手渡した。
「ありがとう!恩に着るよ、シュニィ。それじゃ!」
「はい。どういたしまして」
アトラスさんは、来たときと同じくらい騒がしい音を立てて帰っていった。
全く…。困った人である。
しかし、本当に困ったのはこの後である。
自分が覗かれていたなんてちっとも知らないので、今日も私は、元気に学校に通っていた。
そんなある日。
授業と授業の間の短い小休憩のときのこと。
いきなり、廊下をドタドタと走る、騒がしい音が聞こえてきたと思ったら。
「シュニィ!済まん!」
教室中に響き渡るような大きな声で、アトラスさんが私の教室に飛び込んできた。
私はびっくりして、読んでいた本を落としてしまった。
他のクラスメイトも、何事かとびっくりしていた。
「な、何?」
「シュニィいるか!何処だ?」
「こ、ここです」
手を上げると、アトラスさんはハッとして、遠慮なく教室に入ってきて、私のもとまで駆けてきた。
「い、一体何事ですか?」
「済まん!悪いんだが、大至急、『雷魔法応用Ⅲ』のテキスト、貸してくれないか」
「え…?」
テキストを貸す…?それはまた、何故?
「忘れたんですか?」
それなら、学生寮は学校の目の前なのだから、アトラスさんの超ダッシュで取りに行けるのでは?
と思ったら。
「いや…昨日、課題をやろうとしてたんだが…寝惚けて、テキストにお茶溢して…」
アトラスさんは、お茶が染み込んで、でっちょりとしたテキストを、指で摘まんで見せてくれた。
あーあ…。あんなことになって…。
「本当に済まん!一時間だけ貸してくれ!頼む!」
「それは良いですけど…。私、テキストに結構書き込みしてますよ?」
「大丈夫だから!気にしないから」
それなら良いけど。
あ、それから。
「アトラスさん、次の授業にこれ使うんですよね?」
「あぁ」
「その次の授業は、今度はうちのクラスが雷魔法の授業なので。授業終わったらすぐに返してくれますか?」
「分かった!授業終わったら、急いで返しに来る」
「お願いしますね」
私は『雷魔法応用Ⅲ』のテキストを、アトラスさんに手渡した。
「ありがとう!恩に着るよ、シュニィ。それじゃ!」
「はい。どういたしまして」
アトラスさんは、来たときと同じくらい騒がしい音を立てて帰っていった。
全く…。困った人である。
しかし、本当に困ったのはこの後である。